私たちはこの世に生まれてから、いろいろな体験を自分なりに記録し、解釈して統合しつつ、心の中に自分が住む建築物を建てていきます。
その建物の土台になるレンガはだいたい7歳ぐらいまでに敷き詰められ、基礎工事が終わったら柱や壁をたててとりあえず家が完成します。
家は成長するにつれ、どんどん大きくはなっていきますが、基礎になった部分はそのままで、建て増しを続けていくかんじ。
窓が開く方向は変わらないので、見える景色もさほど変わりがありません。
見慣れた景色は安心です。
たとえ、それほど良い景色でなくっても。
もしとても小さいときに、「本当の自分の気持ちを話したら、すごく叱られた。本当のことは言ってはいけないんだ」というレンガを土台にはめこんだら、その後の「本音を言ったために起きた否定的な体験」がそのレンガをますます大きく、強大にしていきますし、本音を守るための家の壁は鉄骨入りの分厚いものになっていくでしょう。
ロシアの神秘思想家のグルジェフはこんな言葉を残しています。
「あなたがたは檻の中にいる。だが、自分は檻の中にいるのでない。それは自分の家だ……と信じるようになる」
檻も壁紙を張り、インテリアに趣向を凝らして自分の好みに飾ったら、檻にいることを意識しなくてもすむわけです。
それはとても楽チン。
「奇跡!」……自分の今まで信じてきた論理を超えた出来事は、時間とエネルギーをたくさんかけて建ててきた自分の家に襲いかかる地震です。
構築してきた信念体系という家を根底から揺さぶります。
すべてをいっぺんにぶち壊すような巨大地震は、愛する身近な人の死であったり、本人の病気や事故、会社の倒産などがあげられますが、奇跡体験はもっと穏やか、でも、パワフルさは相当なものです。
目の前にサンタクロースと雪男がお酒を酌み交わしていたら、彼らの存在を信じないわけにいかなくなりますもの(笑)。
一番はじめにあげた「なくした指輪が魚のお腹から出てくる」というパターンは、実は結構ある奇跡なのです。
ヒューストンにすむジョー・リチャードソンは、21年前に大切なスクールリングを湖に落としてしまったけれど、漁師が釣ったバス(バスは指輪がすき?)のお腹からでてきました。
この漁師はインターネットでリングに彫られた名前から持ち主を見つけだしたのです。
同じストーリーは昔話や伝説にもあり、かの王妃シェラザードも王に語っています。
つまり何を申し上げたいかというと、この信じられない偶然の奥深いところに、実は秩序と必然が隠れているのではないかということなのです。
こういった奇跡を解明しようとしたライアル・ワトソンは「シークレットライフ」という本のなかに、大切にされていた指輪には知性があり、指輪の「持ち主のもとへもどりたい!」という気持ちが奇跡を生み出したと、アトランティスの叡智の普遍的意識(ユニバーサルマインド)に言及しています。
きっと持ち主のほうの「指輪をとりもどしたい」という深い思いとも呼応したのでしょう。
持ち主たちの「そんなことが起きるわけがない」という疑いが潜在意識からなくなるまでに 20年の歳月がかかったのだと思います。
魂の意識である私たちが心底思うことは、必ず現実化するわけですから。
この世界のすべてはエーテルプラズマ物質構成されていて、何もないところからの物質化も可能であることも古代の叡智は伝えています。
石が物質化することも、奇跡でもなんでもない?
奇跡は私たちの建築してきた家に大きな風穴をあけ、今まで見えなかった景色をみせてくれます。
回り舞台が回転して、まったく違う世界が展開するように、今までとは違った場所に家が建っていることに気づくことでしょう。
「そういうことが起こりえる」と思った瞬間、人生に「そういうこと」が起き始めます。
奇跡的な偶然に見える出会いや、探し続けていたものが関係のない人から目の前に差し出されたり…など。
まずは檻にいることに気づくことです。そしてカオスの奥の秩序に触れることです。