特集・コラム


中島勇一



子供は、かくれんぼが大好きです。娘も家の中で突然、「パパ、目つぶって、十数えて」 と言って、勝手に隠れてしまいます。こちらもしばらくは別の場所を探しますが、あまり長く気づかない振りをしていると、娘がクスクス笑い出します。そして、「見~つけた!」 というと、大喜びします。ドキドキしながら一生懸命隠れているのを、苦労して探し出してもらえると、「あ、見つけに来てくれた」 とすごく嬉しいのでしょう。

- 怒りの下にある感情 -

A子さん(34歳)は、最近職場でとても疲れるようになったとのことで、セッションルームを訪れました。

「会社にいると、ただただ疲れるんです。自分は仕事が出来る方でもないので、申し訳ないような、惨めな気持ちになります。ここにいるのが私じゃない方がいいのではないかと考えるのです。そう思うと、胸の真ん中と、その裏側の背中の辺りが苦しくなって、心底疲れてしまいます」

同じような気持ちを前に感じたことがあるか聞いてみると、子供の頃、A子さんは家族の中でいつも、自分がいない方がいいのではないかと感じていたそうです。

「会社は業績が悪くなってきて、社長もピリピリしているし、中堅の社員同士も責任のなすり合いばかりしています。先日、たまたま出しっぱなしになっていた辞書があったのですが、部長が 『ちゃんとしまえって、言ってんだろ』 と怒鳴って、辞書を壁に叩きつけました。なんでそんな些細なことでこんなふうになるんだろうと、私はオロオロしてしまいました」

「小さい頃に心が傷つく体験をすると、その後の人生で同じようなことが何度も起きてくると言われています。あなたの小さい頃、その部長と同じように、些細なことで怒鳴る人は身近にいませんでしたか?」 と私が問うと、彼女は 「父が、些細なことで怒鳴り散らして、手当たり次第、物を投げていました。今、会社で同じように振る舞う人を見ると、自分にはどうしようもないと、惨めで、居たたまれない、悲しい気持ちになるんです。そしてどんどん暗くなって、疲れ切ってしまうんです」 と言いました。

怒りは一見、破壊的でとても強い感情に見えますが、実は単なる 「防衛」 に過ぎません。怒りを使うことで見えなくしている、その下にある感情こそが、本人が感じることをもっとも怖れている感情なのです。


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中島 勇一 PROFILE
1956年生まれ。ゲシュタルト療法、ユング心理学、新フロイト派、プロセス指向心理学、トランスパーソナル心理学、エリクソン催眠等を学び、1993年より個人カウンセリング、グループセラピーの講師、講演を行う。1998年、日本人初の全米催眠療法協会認定講師となり、その後10年間にわたり、ヒプノセラピスト養成コースにおいて 1,200余名を指導。日本におけるヒプノセラピーの普及に努める。2002年より、過去のトラウマを癒し、より幸せに、輝いて生きるためのグループセラピー 「HEART」 を毎月開催中。

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