インフルエンザから身を守るお札

今年はインフルエンザが猛威を振るっています。身近な方がインフルエンザになってしまった、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか? そんな中、2月9日に厚生労働省がインフルエンザの患者数が過去最多を更新したと発表しています。

先日紹介したように、日本だけでなく世界的にインフルエンザが大流行しています。そのため、製造に時間がかかるために、現在はある程度の予想を元に作るしかないワクチンの製造時間短縮や、より短期間に効果が期待できる新薬の開発などが進んでいます。

また、そういった開発と平行して、ワクチン製造工場を拡張、新設するなどといった物量作戦も進んでおり、次のインフルエンザ流行時期への対策が取られているわけですが、スピリチュアルな意味でのインフルエンザ対策というのは、今から100年以上前にも行われていました。

江戸時代には、一般的な風邪とインフルエンザを厳密に区別するだけの技術がなかったのですが、残された文献から症状などを調べたところ、明らかにインフルエンザだと思える風邪が大流行したことがわかっています。

これらの風邪は多くの人が罹患し、亡くなっているために、お駒風邪、谷風邪、お七風邪などといった名前をつけて区別していたようです。そんな中に「お染風邪」というものがあります。

こちらは、当時人気だった歌舞伎の演目である「お染久松」というものが元になっています。こちらの演目は、現在でも上演されるほど古典の名作とされている作品ですが、ロミオとジュリエット的な悲恋と心中がメインのストーリーとなっています。

この歌舞伎が人気になった時にちょうどインフルエンザが流行したために、これは心中したお染の怨念が風邪となって襲ってきたのではないかとして、「お染風邪」という名称をつけ、その対策として「久松留守」というお札を玄関に貼るようになったのです。

これは「あなたの恋人である久松は、我が家にはいませんよ」ということをアピールすることでインフルエンザを避けようという庶民の知恵だったわけです。

現在のようにワクチンや特効薬が存在しない時代は、インフルエンザ対策といえば神頼みがメインであったとはいえ、実際に存在しない歌舞伎の演目の登場人物が由来で生まれた「久松留守」は、当時の人もさすがに、架空の人物に願掛けをすることに意味があると思っていたわけではなく、ある種の洒落や、縁起担ぎだったのでしょう。

しかしながら、こちらのお札は歌舞伎の演目が現代まで継承されたこともあり、現代でも残っているところがあります。そんなお札を見つけたら、「お、粋だね」と思って見てみるといいかもしれません。