お水取りとお水返し

「お水取り」といえば、以前にも紹介したことのある、奈良県の東大寺で行われるものが有名です。こちらは西暦752年から一度も途切れずに続いているという非常に歴史のある行事。

東大寺のお水取りは、福井県からはるばる奈良県まで地下を通って流れてきた水を、特別な建物の中に設置された井戸で汲むというものであり、とても神秘的な儀式となっています。

こちらは自然の神秘と、長年にわたって培われた伝統によって成り立つものですが、現代になってから生まれたお水取りというものもいくつかあります。こちらは、人力で水を汲んで、それから返すこともあり、「お水取り」と「お水返し」がセットになっていることが多いのです。

8月21日にそんなお水返しが行われたのは、琵琶湖で有名な滋賀県。こちらは、富士山山頂の湧き水を琵琶湖に注ぐという儀式。距離的にはかなり離れている富士山と琵琶湖にどのような関係があるのかというと、古い伝説がベースとなっています。

この伝説は「ダイダラボッチ」という巨人が富士山を作った時に、その材料となる土を掘った跡が琵琶湖になったというもの、ダイダラボッチによる国土創生の逸話は色々とありますが、これはその中でもダイナミックなもののひとつといえます。この伝説を元に、滋賀県近江八幡市の市民が、琵琶湖の水を汲んで、富士山頂で注ぐお水取りと、富士山頂の湧き水をくんで、琵琶湖に注ぐお水返しを始めました。

伝説自体は古いものですが、この行事が初めて行われたのは、昭和32年のことだそうです。今年で60年目となっており、東大寺の1000年以上続くお水取りには到底及ぶものではありませんが、この活動を通して、富士山で有名な静岡県富士宮市と夫婦都市提携が締結されたりもしていますので、その成果はあがっているといえるでしょう。

日本全国には様々なお祭りや風習が存在しており、日本独自の素晴らしい文化といえます。今回紹介した、滋賀県のお水取りとお水返しは、まだ歴史が新しいものですが、今後、100年、1000年と続いていくことで、東大寺にも負けないだけの歴史とスピリチュアリティを獲得することも可能だと思いますので、これからも途切れることなく続いていって欲しいものです。