3000年に一度だけ咲く花

西暦になってから一度も咲いていない花があります。3000年に一度という、かなり壮大なスケールで咲くといわれている花をご存じですか?

その花の名前は「優曇華(うどんげ)」。この花が咲くと、非常に徳の高い聖人が生まれるといわれています。このことからもわかるように、本来は仏教経典で語られたものです。かなり知名度が高かったのか、『法華経』や「金光明経』に記載されていますし、物語でいえば『竹取物語』や『源氏物語』にも登場するほどなのです。

このことからもわかるように、基本的には架空の花であり、だからこそ3000年に一度というスケールになっているわけですが、いつしか一般的な植物にその名前がつけられたりしたことで、あたかも実在しているかのように思われています。

実在の植物の場合は、「フサナリイチジク」などが優曇華とされるのですが、植物ではないものが優曇華となるケースもあります。こちらは、非常に神秘的な姿をしており、その持続期間が今の時期だと4日程度しかないことから、植物でないにも関わらず、より優曇華という名前にふさわしいように見えます。

それは「クサカゲロウ」という昆虫の卵。冒頭に掲載した写真のように、クサカゲロウはまるで細い茎のようなものの先に卵がついたものを、葉っぱや、その茎などに産み付けるのです。この細い茎と卵のバランスが美しく、「銀の花」などとも呼ばれています。

クサカゲロウは、益虫であり植物につく害虫を積極的に食べ尽くし、食べ終わったならば植物に害をなさずに飢え死にしてしまうという、ちょっと寂しい生態をもってますが、世界中で1300種類ほどが生息している比較的メジャーな虫なのです。

それだけに、優曇華も比較的目にしやすいはずですが、かなり小さいものなので、意識して探さないと見つけることができない上に、4日程度で幼虫が生まれてしまうために、なかなか目にすることができず、そのために3000年に一度という優曇華の伝説が生き残っているのかもしれません。

ちなみに、前述のように仏教経典では、優曇華が咲くと聖人が生まれるとされていますが、不吉の前触れであるという説もあります。これは竹の花が咲くと凶兆というのと同じように、「滅多に咲かない花が咲く=天変地異の前触れ」というようにイメージされたのかもしれません。

今頃の時期は比較的優曇華を見つけやすいと思いますので、興味のある方は葉っぱや茎などをチェックしてみるのも面白いかもしれませんよ?