日本、中国、朝鮮、インドの神々が融合した謎の疫病神

日本の神仏には、中国やインドからの影響を受けたものが多いのですが、いくつもの国の神が融合したことによって、強力な力を持ちながらも正体不明な神がいます。

その神の名前は「武塔神(むとうしん)」。別名「牛頭天王(ごずてんのう)」。牛頭天王といえば、現在、お祭りの真っ最中である京都の八坂神社に祀られていることで知られています。

神道的には、武塔神は素戔嗚尊と同一視されますが、仏教では薬師如来と同一視されています。また、インドでは祇園精舎の守護神ともされていますし、道教では托塔李天王、陰陽道では天道神と同一視されています。

これだけ様々な神々と同一視されることからも、武塔神がかなり正体不明な存在であることがわかると思います。共通する要素としては、薬師如来を除くと強い武力を持つ武神としての性格を持っている点があります。

そのために、古来の人々が最も怖れていた疫病の元締めとして、武塔神はそれらを司る神とされることが多くなっています。また、夜叉の国の王や、インドの大王とされたり、そもそも牛頭天「王」という名称からもわかるように、多くの眷属を従える偉大な存在であるともされています。

かなり複雑な性格をもっているために、現在でも武塔神や牛頭天王に関する研究は続けられており、インドや朝鮮半島との関連性や、茅の輪くぐりなどとも関連する「蘇民将来」という説話との関連性なども取り上げられることが多いのです。

日本有数のお祭りである祇園祭の主祭神であるだけでなく、全国各地に存在する熊野神社で配布される「熊野牛王符」との関わりもあり、天王社として祀られている場所が多いにもかかわらず、その存在は依然として謎に包まれている強力な神。

武塔神という名前では、あまり知られていませんが、牛頭天王、天王、蘇民将来などといった話は神社を訪れると見る機会が多いと思いますので、そういったものを目にしたならば、いったいどのような性質を持つのか、そのエネルギーをじっくりと感じてみることをオススメします。