ヒアリパニックに陥らないためには?

ここしばらく「ヒアリ」についてよくニュースで話題となっています。大阪では国内初の女王アリが発見され、関東でもヒアリが発見されるなど、本格的な日本上陸の可能性が出てきたヒアリとはどのような存在なのでしょうか?

ヒアリは漢字で書くと「火蟻」、英語では「Fire ant」という名称がついています。どちらも、毒針に刺されると火傷をしたかのように、激しい痛みが襲うことが由来となっています。

このようにインパクトのある名前と、ヒアリに刺されることで死亡する人がいることから、「殺人アリ」という名称をつけられて、センセーショナルに報道されたりもしますが、実際には、毒が直接的な死因となることはほとんどありません。

ヒアリに刺されたことで死亡する要因のほとんどは「アナフィラキシーショック」。食物や薬物などでも引き起こされることがあるものですが、ヒアリと同じ虫の場合だと、スズメバチによるものが有名です。

ですので、ヒアリに刺されたからといって必ずしも死亡するわけではなく、軽度の場合は痛みやかゆみだけですむこともありますし、重度の場合でも強いアレルギー症状を呈するものの命にかかわるほどではなく、死亡するというのはかなり最悪のケースとなります。

それにもかかわらず、これだけヒアリが話題となるのは、繁殖力が高く一度定着してしまうと、その地域から根絶することが難しいだけでなく、生態系を含めて、さまざまな被害を与える「特定外来生物」に指定されているからなのです。これは、日本だけに限ったものではなく、国際自然保護連合が定めた「世界の侵略的外来種ワースト100」にも入るほどなのです。

また、電気にひきつけられるというちょっと変わった性質もあり、電気設備や通信設備といった現代社会の基幹部分に侵入し、ケーブルをかじったりすることで火災を発生させるケースもあります。実際にヒアリが多く存在するアメリカでは、このようなケースで数千億円もの被害がでているのだそうです。

このようなこともあり、ヒアリが日本で繁殖定着しないように、専門家による対策が行われており、毎日のように報道もされているわけですが、殺人アリというインパクトのある名称のせいで、過剰に恐怖を覚える人も多く、アリを見るだけでパニックに陥る人もいるようです。

しかしながら、ヒアリを特定するのは専門家でないと難しく、Twitterでアリを特定してくれるアカウントによると、無数の目撃情報の中で、実際にヒアリと特定されたものは0件でした。にもかかわらず、アリだからといってすべてを潰すという人も存在していますが、このようなことをするのは逆効果です。

人間や動物に対しては強いヒアリも、在来種のアリには弱いために、現状、ほとんどヒアリがいない状況で、在来種のアリを殺してしまうと、万が一ヒアリが本格的に上陸したときに、それを止めてくれるアリが存在しなくなり、逆に定着を助けてしまうことになりかねません。

日本に定着してしまうと、様々な面で被害が出てしまうヒアリですが、だからといってパニックに陥って、場当たり的な対処をするのではなく、噛まれたとしても、適切な対処をすれば死亡するケースはかなり低いということを理解した上で、専門家にまかせて進展を見守るというのが、現時点ではベストの方法といえるでしょう。