ちょっと面白い本の話

本というのは、私たちに智慧を与えてくれる偉大なもの。近年では電子書籍も一般的となってきていますが、やはり、まだまだ紙の本のほうが圧倒的なシェアを誇っています。そんな本に関するちょっとスピリチュアルで面白い話を紹介しましょう。

本の歴史は文字が登場したのとほぼ同時期。それまでは、人間が口伝、すなわち口で伝えていたものが、文字が登場することによって、記録するための媒体が必要となったわけです。その媒体は石や木の葉といった自然のものがほとんどであり、例外的に粘土板も存在していました。

中でも、木の皮を使った記録媒体は、地球上の多くの場所に育っている木の皮を使えるために、非常に手軽で手に入れやすく、世界中の多くの民族が利用していました。文字が記された記録媒体というと、今から4000年以上前から存在していたシュメール語の粘土板が有名ですが、こちらは制作に手間がかかるために、古代エジプトで植物から創り出された「パピルス」が広く使われるようになったようです。

そのために、パピルスというのは、英語のPaperを含め、多くの地域で紙の語源とされています。ちなみに、『聖書』の語源もパピルスだという説があります。その後、中世では獣の皮を原料とした「羊皮紙」を使った本が一般的となりました。

面白いことに西洋では羊皮紙が使われていた時代が長かったためか、紙を使った本が登場するのは15世紀になってからなのですが、植物を利用する文化が一般的だった東洋では、1世紀頃から使われていました。ちなみに、日本に伝来したのは7世紀となっており、西洋と比べると1000年近い差があるのです。

こういった背景があるためか、また「神」と「紙」が同じ発音になっているためか、日本では紙を利用したスピリチュアルな技法が多く存在しています。護符はもちろんですが、お祓いに使う御幣や、穢れを移す人形など、さまざまなものが紙で作られました。

といっても、紙の本が実用化されるのが遅かった西洋でも、紙はスピリチュアルなものと関係しています。それは『聖書』。西洋で本格的に紙が使われるようになったのは、グーテンベルクが印刷術を発明してからのこと。この技術によって、一番最初に印刷されたものが『聖書』だというのは有名な話です。

印刷によって、徐々に本の価格は下がりましたが、前述したようにそもそもは羊皮紙に手書きで書き込む「写本」が中心だったために、本は非常に高価なものでした。そのために、装丁も和綴じ本とはことなり、皮を使って表紙を補強するのはもちろん、宝石をちりばめたり、金箔を貼ったりするという芸術品のようなものすら存在しています。

そんな装丁の中で、実用的なものとして現在も残っているのが、「コーナー金具」。こちらは、本というよりも、手帖などでよく見られますが、四隅に金具をつけることで、本が傷みにくくなるというもの。

ちなみに、古い聖書はかなり大判のサイズで、ページ数も多いために、このようなコーナー金具もかなりごついものがついていました。そのために、中世の聖職者は、コーナー金具で悪魔を殴り倒すというジョークすら存在しているのです。そういった意味でも、本というのは、スピリチュアルな存在だったといえるでしょう。

情報の電子化が進み、本は残っているものの情報源としての価値はかなり少なくなり、出版業界も不況なところが多い時代ですが、長い間情報を伝え続けてきた紙や本といったものの良さは、今の時代だからこそ実感出来るのかもしれません。