仏様でありながら、呪術者で妖精?

「曼荼羅」というものをご存じでしょうか? 現在では様々な使われ方もしますが、元々は密教の経典に基づき、多くの諸仏を配置した図像を指します。この曼荼羅に登場する仏様の中には、呪術を極めた妖精的存在もいるのです。

仏様なのに呪術で妖精? と、ちょっと不思議な感じがするかもしれません。確かに若干異端であるために、曼荼羅の根本となる中央部分ではなく、最も外側に配置されています。こちらは、お釈迦様の弟子など、現実的な救済などを目的とした存在が多くいるのですが、その中でも異彩を放つのが「成就持明仙(じょうじゅじゅみょうせん)」。

妻である「成就持明仙妃」とセットで曼荼羅に配置されているこの存在は、名前からもわかるように仏様というよりも、仙人としての要素を強く持っています。そして、その能力は「明呪」すなわち、呪術を行いその効力を発揮させることができるというもの。

呪術を使いこなし、神通力を発揮し、空を飛び、永遠の若さを保つという、まさに仙人的な概念をもっています。その様相が人間離れしていたのか、成就持明仙のインド名である「シッダ ヴィドヤーダラ」はインド神話では、妖精や精霊の一種として捉えられることもあるのです。

曼荼羅ではシンプルに一般的な仏様と同じように描かれているわけですが、その正体はかなり不思議な存在であり、悟りを開いた存在である仏様と違って、より現世的でいわゆるスピリチュアルなものを、私たちにもたらしてくれるような存在といえるでしょう。

また、明呪とは、呪術として捉えることもできますが、仏教的にいうと「真言」であるともいえます。つまり、真言を成就させることのできる存在という見方もできますので、ある意味、修行者を守って導いてくれる存在なのかもしれません。

非常にマイナーであり、曼荼羅に描かれる以外では、祀られていることもほとんどない仏様ですが、何かスピリチュアルな修行をしている人にとっては、力を借りることを願ってみて損は無い存在ですので、どこかで出会うことがあったらそのエネルギーを感じてみてください。