中華圏で絶大な人気を誇る破戒僧

僧侶とは、一般的に仏教を修行する人々を指します。宗派によって差はありますが、厳しい戒律を守って修行することで悟りを得て、最終的には仏の領域へ至ることを目指すわけです。しかし、そのような戒律を一切無視しながらも、高い人気を誇る存在がいます。

戒律を守らない僧侶のことを「破戒僧」などと呼びます。本来ならば、言語道断な存在なのですが、修行を積んだ上で戒律を無視する人もいます。日本では「一休さん」として多くの人に知られている「一休宗純」も破戒僧と呼ばれていました。

一休さんはアニメ化されたことで、一気に知名度があがりましたが、実在の人物であり、現在でも彼ゆかりのものが存在しています。しかし、彼自身が強い信仰を集めるまでにはいたっていません。しかしながら、同じような破戒僧であり、さらには「狂僧」とまで呼ばれた「済公」は、「済公活仏(さいこうかつぶつ)」として、中華圏では絶大な人気を誇っているのです。

済公も一休さんと同じように実在の人物ですが、僧侶でありながら戒律を守らず、時には奇声をあげてまわるなどの行為をしていたという記録が残っています。これだけだと、単なるちょっとおかしい人なのですが、一休さんと同じように本来は悟りを得た人物であるという伝説が次々に産まれていきます。

一休さんが人気になったように、破天荒な人物というのは魅力的なのでしょう。多くの済公を題材にした本が出版され、何度もドラマ化され、最近でも映画の題材になるなど、その人気は一休さんを上回っています。

現在では、済公は困っている人を助けてくれる存在だとされており、済公だけを専門に降ろす霊媒師も多く存在しています。中には、済公を降ろして絵や書を描いてもらってそれによって御利益を与えたり、占いを行うということもあるようです。

霊媒師のようなアクティブなものだけでなく、台湾では多くの寺院に済公が祀られていますし、最近では中国の歴史ある寺院も、その人気にあやかって済公を祀るようになっているということです。

一時期に比べると自由度が増してきたとはいうものの、まだまだ不自由なことの多い中華圏だからこそ、済公のように自由自在に生きた存在がまぶしく、また常にボロボロの風体をして笑っていたという庶民派の姿も、その人気の秘密なのかもしれません。

日本では、ほとんとお目にかかることの出来ない存在ではあるのですが、もしも中国や台湾などを訪れることがあったならば、済公が祀られているのかを確認してみて下さい。ワイルドな風体をしていますが、困っている人の頼みはかならず聞いてくれるはずですよ。