まるで怪獣!? 村を見守る異形の神

神仏の像というのは、全国各地に存在していますが、その中に、3mから4mもの巨体でありながら、プロではなく、基本的に住民によって作られるという珍しい存在があります。

その存在とは「鹿島様」。名前から鹿島神宮の御祭神で、超メジャーな神様である「建御雷男神」をイメージする方も多いかも知れません。実際、鹿島様と建御雷男神が関係するという説も存在してはいるのですが、冒頭に掲載した写真を見てもわかるように、どちらかというと神様よりも怪獣のようなインパクトのある姿をしています。

鹿島様は秋田県に古くから伝わっている存在であり、簡単に言ってしまうと巨大な藁人形です。3~4mというその巨体は基本的に稲わらで構成されており、顔の部分だけを独特の木彫りの仮面にするというのが一般的です。その異形の姿で村を守り、災厄を遠ざけ、稲わらによって五穀豊穣を祈願するという鹿島様は、軍神である建御雷男神よりも、道祖神としての性格を強く持っています。

実際、鹿島様には他にも「鍾馗様」「仁王様」「ドンジン」などといった呼び名がついています。鍾馗とは中国で魔を祓う存在として、家に祀られることの多い神様であり、仁王様はお寺の山門を守る存在です。ドンジンは、おそらく道祖神がなまったものでしょう。このように考えると、鹿島様というのも、建御雷男神が持つ魔除けの力にあやかったものであることがわかります。

そのために、このような存在を「人形道祖神」などと呼ぶ人もいます。秋田では人形でつくられますが、千葉では藁で作った大蛇を道祖神にするという風習もあり、稲作に従事していた農民達の中で伝承されてきた独自の神様と考えることもできます。

特に東北地方は、男根信仰が強いことから、鹿島様の中には巨大な男根をさらけ出しているものもあり、その素朴でありながらインパクトのある姿は、原始的な力に満ちあふれています。

藁で作られていることもあり、鹿島様は年に2回程度のメンテナンスが必要ですが、その作業は地域住民によって行われるものであり、農村部の過疎化が進んでいることを考えると、インパクトにあふれた村の守り神である鹿島様も徐々にその姿を消していくのかもしれません。

高名な仏師につくられ国宝指定されるような仏像とは異なりますが、心の奥底にインパクトを与えてくれる素朴な造形をした鹿島様が、なんとか失われずに今後も続いていって欲しいものです。