神々の墓場

様々な宗教でシンボルとして神像が用いられます。キリスト教では基本的に偶像崇拝が禁止されていたはずが、キリストやマリアの像が造られてしまったことからもわかるように、人間は高次の存在をシンボルとして具現化したくなるようです。

日本では仏像が最もポピュラーであり目にすることが多いものです。様々な仏様が存在するために、色々な仏像が存在しており、中には国宝に指定されるほど芸術性の高いものもあります。

大仏のような大規模なものはともかくとしても、基本的にお寺に祀られているような仏像も等身大に近いものが多く、あまり家庭で祀られていることはないのですが、道教の神像は家庭やお店で祀られることが多いのです。

道教は歴史の長い宗教であり、日本にも影響を与えていますが、中国では文化大革命で弾圧を受けたために、台湾や香港などでギリギリ宗教としての命脈を伝えています。しかしながら、民間のレベルでは、長い間信仰が失われていないものです。

そのために、中国料理店などでは、三国志の英雄である関羽を商売繁盛の神様として祀っていたり、門番として鍾馗の像などが祀られていたりするので、そういった像を見たことがあるという方も多いかも知れません。

前述したように日本では、あまりお店や家庭で仏像を飾ったりすることはありませんが、道教の伝統があるせいか、香港などでは、家庭にも様々な仏像や神像が祀られていることが多くあります。そんな神仏の像が何らかの事情で廃棄されたものが、数千体も集まった、まさに神々の墓場という場所が香港にあります。

海の面した岩の斜面に、道教の神像をはじめとして、観音像などの仏像、さらにはマリア像、名前もわからないような土着の神様まで、サイズも大きなモノから小さなものまで数千体が並べられています。これらの像は、持ち主に見捨てられたものを回収し修復したものであり、17年前に偶然捨てられていた12体の神仏像を発見して、修理して安置したことがきっかけで、いつしかここまでの数になったのだそうです。

ここを管理しているのはウォン・ウィンポンさんという人物で、像の修復だけでなく、周囲の掃除をして、線香を手向けるという生活を毎日送っています。今では毎日のように何らかの事情で不要になった像が持ち込まれるということもあって、名物スポットにもなっているようです。

手放された神仏の像を安置するだけでなく、綺麗に修繕していることから神仏のリサイクルスポットなどとも表現されますが、その無数の像は、やはり神々の墓場というのがふさわしいなんともいえない光景です。どんなものか、興味のある方は下記のサイトをご覧下さい。

圧巻!神仏像が数1000体、捨てられた神仏像に安住の地 香港(AFP BB NEWS)

日本では人形供養などが有名ですが、こうやって神聖だったはずのものが、大量に遺棄されているというのは、どのようなエネルギー状態になっているのかが気になってしまいます。