毎日のように行われている儀式に登場する神

全国各地で見ると、毎日のように行われている儀式があります。そして、そこで必ずといっていいほど招かれるにもかかわらず、一般的にはその名前がほとんど知られていない神様がいます。

その神様の名前は「彦狭知命(ひこさしりのみこと)」。おそらく、聞いたことがあるという方は少ないのではないでしょうか? この神様は天照大神が、天岩戸に隠れてしまった時に木材を使って宮殿を作ったといわれています。宮殿を作るときに天御量という測量器具を使って木材を集めたことから、木工職人や大工さんの守護神とされています。

『日本書紀』には「彦狭知神を作盾者とす」という記述があることから、「盾」を専門に作っていたとも考えられています。現在では盾を使うということはありませんが、古代においては戦いにとって重要なアイテムでしたので、それを作ることが出来る彦狭知神というのは、古代の専門的な技術者集団だったのではないかといわれています。

彦狭知神が祀られている神社自体は、全国各地にありますが、数自体が少ないためにその名前は一般的には知られていません。しかしながら、前述したように建築関連の職業につく人々には古くから信仰されていました。

そのために、今でも毎日のようにとある儀式で招かれて、祀られているのです。その儀式とは「上棟式」。こちらは、新築で家を建てるとき行われるもの。一般的には家の土台が完成し、柱や梁といった骨組みが完成したときに行われています。

上棟式は、建物の守護神と、職人の守護神を祀ることで、今までの工事の無事を感謝し、これから建物が完成するまでの無事を祈願するという目的で行われます。この儀式は平安時代から行われていたとても古いものです。古い時代には、建物が建造されるまでには無数の儀式があったのですが、現代までに残っているのは上棟式を含めて、ごくわずかとなっています。

そんな重要な儀式で、必ず招かれるわけですので、建築関連の職業についている人はもちろん、神主さんにとってはなじみ深い神様ですが、家を建てるというのは購入者としては、一生に一度レベルの大きな買い物ですので、上棟式の祝詞で名前を聞いたとしても、何度も聞くわけではないので、あまり記憶している人が少ないのも、この神様が一般的に知られていない要因というわけです。

これから家を建てようとしている人はもちろんですが、なにかモノを作るという趣味をもっている人や、物作りを仕事にしている人にとっては彦狭知命は、とても心強い守護神となってくれますので、興味のある方は祀られている神社を見つけて、参拝してみることをオススメします。