お釈迦様によく怒られた癒しをもたらす仏

強い力を持ち、特に病気を治してくれるという御利益を持ちながら、よくお釈迦様に怒られるという、ちょっとユーモラスな仏様をご存じでしょうか?

その仏様は「御賓頭盧(おびんずる)」、「びんずるさま」などと呼ばれています。名前からして、ちょっとユーモラスな感じがありますが、れっきとした人名です。元々、サンスクリット語で「ピンドーラ・バーラドヴァージャ」と呼ばれていました。

日本語的にいうと「ピンドーラ」が名前で「バーラドヴァージャ」が苗字となります。このうちの名前を漢字にして「ビンドーラ=びんずる」となったわけです。彼はお釈迦様の弟子であり、十六羅漢のひとりでした。

弟子の中でも特に神通力が強く、「獅子吼第一」などとも呼ばれていたそうです。つまり、とても強い超能力的なものを持っていたわけです。その力に調子に乗ったのか、神通力を使って空を飛んでみせたり、病を治すなど、一般人に気軽に神通力を使ったことから、お釈迦様に叱られて、涅槃に入ることを赦されず、ずっと人を救い続けることになったのです。

怒られたとはいえ、そもそも神通力を持ち、人を救っていたことから、信仰を集めるようになったびんずるさまですが、特に「病気を治す力」が強いとされています。「なでぼとけ」と呼ばれ、自分の身体の悪いところと同じ場所を撫でることで、病気が治るとされ、あちこちのお寺にびんずるさまの像があるのですが、この像もちょっと面白い姿をしています。

普通の仏像と違って「赤く」時には舌を出しているのです。どこか世俗を超越したイメージのある通常の仏像と比べると、かなり特徴的ですが、それには、またちょっとユーモラスなエピソードがあります。

びんずるさまは、熱心な修行僧であり神通力も強かったのですが、実はお酒が大好きであり、お釈迦様に隠れてこっそりと飲んでいたのだそうです。しかし、あるときお釈迦様に見つかって怒られてしまったのです。ここでも、また怒られているわけですが、この怒られた時の様子を再現したために、赤くて舌を出しているのだそうです。

舌を出しているのは、「しまった!」と思っているのか、「てへへ…」という感じなのかは定かではありません。また、赤いのはお酒を飲んで酔っ払っているとも、怒られて恥ずかしさで赤いともいわれています。舌とあわせると、恥ずかしいというよりも、酔っ払って、てへへ…となっているのが、エピソード的にはぴったりする気もします。

このような、ユーモラスな面を持ちながら、力は人一倍強く、現在でも私たちを救い続けてくれているびんずるさま。どこかで見かけたら、ぜひ、身体の悪いところを撫でて、癒して貰って下さいね。