神々や天使に彩られた羅針図

「羅針図」をご存じでしょうか? 「コンパスローズ」とも呼ばれるこの図柄は、簡単にいってしまうと方位を示すために描かれた図です。比較的よく目にするものだと思いますが、実はスピリチュアルなものなのです。

なぜ、方角を表すものに「薔薇」という名称がついているのかというと、初期の羅針盤はシンプルなものではなく、様々な意匠で派手に飾り付けられたために、まるで薔薇のように見えたというのが由来となっています。

古代の人は、羅針図の方位を神の名前であらわしたりもしていました。北は「ボレアース」、南は「ノトス」、東が「エウロス」、西が「ゼピュロス」というようになります。これは古代ギリシャのものですが、他の地方でも方角には神を当てはめていました。ただし、これは厳密には方位の神様ではなく、その方角の風を司る神様でした。

そもそも、羅針図は航海のために使われることが多かったために、当時の船の推進力となる風は、とても重要であり、それらをもたらしてくれる存在として神の名前を当てはめたとしても不思議ではありません。

ちなみに西洋では、3方位2に区分された羅針図に天使を配置した「天使のコンパスローズ」というものもあります。羅針図には12方位、16方位、32方位などがあります。冒頭に掲載したのは、1492年に作られたものであり、ポルトガル最古といわれている32方位羅針図ですが、天使のコンパスローズも、似たような形状となっています。

また、天使の名前も独特であり北は「Rnsiel」、南は「Bartniel」、東は「Painersiel」、西は「Malgoras」というようになっています。一般的には方角と天使の対応といえば、北は「ウリエル」、南は「ミカエル」、東は「ラファエル」、西は「ガブリエル」というのが有名ですが、コンパスローズの場合は32の天使がすべて独特ということもあり、風の精霊ともいえる存在なのかもしれません。

中世の船乗りや魔術師たちは、このような羅針図を使って対応する方角の神や天使に向かって、風を吹かせるように祈願をしたり、おまじないをしたりしていたのです。現代では、船の推進力も風ではなくなってしまったために、風が吹く方角について気にすることはほとんど無くなってしまいましたが、過去の羅針図を見てみると、様々な想いが込められているのがわかりますので、興味があるかたは調べてみて下さいね。