蘇るご神木

神社にはご神木がつきもの。神様が降りてくる場所として、信仰を集めているものですし、スピリチュアルな観点からみても、エネルギー的に重要な役目を果たしているものでもあります。

そんな、大切なご神木ですが、自然災害や盗難、病気などのさまざまな要因によって、失われてしまうこともあります。

以前に、紹介したことがあるように、樹齢数百年という貴重なご神木ばかりを狙って、薬剤などで枯らしてから木材として手に入れる、という悪質な手法がありました。

このような人為的なものでなくとも、樹齢1000年を越えるといわれているご神木が、雪と強風の影響で折れてしまったというケースも、紹介したことがあります。

幸いなことに後者に関しては、折れた後から新芽がでてきて、数百年後の復活の可能性があるわけですが、農薬などで枯らされてしまったご神木を復活させるというのは、なかなか難しいというのが現状でした。

同じように復活させるのが難しいケースとして、ご神木が病気になってしまうというものもあります。人間や動物と違って、意思表示をするのが難しい植物の病気は、専門家でなければ見過ごしてしまいがちであり、気がつくとすでに手遅れになってしまっている、ということもありがちなのです。

そんな病気からご神木を守る方法として、最新の科学技術が導入されました。京都にある「北野天満宮」は、菅原道真を祀る神社であり、学問の神様として有名な場所ですが、九州に左遷された菅原道真を追いかけて飛んでいったという伝説をもつ、「飛梅」という木をご神木としています。

樹齢300年程度であり、実際の飛梅というよりも、厳密にいうと、その子孫という形ではあるのですが、貴重な木であることから、最近流行している「プラムポックスウィルス」という、梅や桃に感染する病気の対策として、飛梅のクローンを作ることにしたというのです。

木のクローンはすでに、いくつか成功していますが、梅のクローンははじめてということで、つい先日、6年の時間をかけて、ご神木と同じ遺伝子を持つ苗木が完成しました。今後、この苗木は全国の天満宮に贈られる可能性もあるということで、まさに、科学技術で蘇ったご神木といえるでしょう。

ご神木の本質を決めるには、長い間信仰を受け続けた姿や、人々の信仰によって蓄積されたエネルギーといったものが重要だとは思いますが、なにかあったときに、まったく同じ遺伝子をもったご神木が復活するというのは、今の時代ならではであり、歴史ある名木を失わないためにも、今後はこういったケースが増えていくのかもしれません。