失われていく日本のスピリチュアル

昨年、「命婦の舞(みょうぷのまい)」という女性神楽が、存続の危機に陥っているという記事を紹介しましたが、今年になって、完全に消滅してしまった神楽もでてきました。

4月5日を最後に、120年以上にわたる伝統に幕を下ろすことになったしまったのは、埼玉県秩父市で行われてきた「三峰神代神楽」。

こちらは、命婦の舞のように後継者の指定が厳しいわけではないのですが、それでも過疎化に伴い、伝統を受け継ぐ若者がおらず、現在、神楽を行っている保存会のメンバーが平均70歳以上という高齢のために、会が解散となったのです。

過疎化と少子高齢化が進む日本では、こういった古くから伝わる伝統が、今後も、どんどんと消えていくことはまず確実といえるでしょう。

神楽とはちょっと異なりますが、民間の宗教者も跡継ぎ不足に陥っています。東北の巫女というと、「イタコ」が有名ですが、他にも「オガミサマ」や「ミコサマ」と呼ばれる民間宗教者が存在しています。

彼女たちは基本的に盲目か、視力が極端に弱い女性であり、生活のために宗教儀式を体得した人々ですので、現在跡継ぎが少なくなったのは、医療技術の発展や、社会が障害をもった人にとって、昔よりは過ごしやすくなってきた証拠なのかもしれませんが、古くから伝わってきた伝統が消えていくことに違いはありません。

昨年の6月に、宮城県で多くの人の心を癒してきた「オガミサマ」が亡くなりました。88歳でしたので、老衰であり大往生ともいえますが、14歳で失明してから、激しい修行をつみ、口寄せだけでなく、港町ということあって、多くの漁船の祈祷も行ってきた人物でした。

震災前には東京から祈祷を頼みに来る人がいるほどだったそうですが、修行が厳しいために後継者は育成できず、震災後は多くの霊たちと、残された人々の間を取り持ったオガミサマが亡くなり、宮城県の気仙沼地区にはもうオガミサマはいなくなってしまいました。

現在、国の政策として「クール・ジャパン」などといって、日本のコンテンツや伝統文化を海外に宣伝しようとしていますが、大金を投入して行われているクール・ジャパンの中では、神楽や巫女といった民間宗教者は注目されていません。

海外に文化を宣伝していくというのならば、利益がでるものを重視するばかりでなく、日本人が脈々と受け継いできた文化を次の世代に受け継がせるためにこそ、国はより力を入れていく必要があるのではないでしょうか。