心と体を護るしぐさ

人は音声や文字などを使わずに、知らず知らずのうちに、体を使って自らの意思を表現したりすることがあります。今回は、誰もが行っているとある「しぐさ」について紹介したいと思います。

そのしぐさとは「腕組み」。一般的に腕組みをするとき、人はなにかを警戒しているといわれています。

腕を組むことで、心臓をカバーする、つまり他人から自らの命をまもるという心理が無意識に働いている防御姿勢であり、コミュニケーションをとるというよりも、相手を拒絶し、自分を守っているわけです。

これが、さらに高い位置となると、防御から一歩踏み出して相手を威圧するという、ちょっと攻撃的な態度となります。この場合は、自らを守りながらも相手より上に立ちたいという気持ちの表れといえるかもしれません。

このように、非常に防御的な色彩の強いしぐさが腕組みなのですが、最近の研究によって、腕組みが実際に心と体に影響を与えている事がわかってきました。

「ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン」、その名もズバリ「ロンドン大学」という、イギリスのロンドンにある大学があります。こちらの研究チームが、痛みに関する専門誌に発表した研究によると、腕組みには痛みを緩和する力があるということです。

レーザーを使って、体にふれることなく痛みを与え、腕組みをしたときと、そうでないときに痛みに違いがあるかどうかを、本人の自己申告と、さらに脳波検査を用いて調べてみたところ、腕組みをしたときのほうが、痛みの感じ方が弱かったのだそうです。

なぜ、このような現象が起こるのかというと、腕組みをすることで、脳内の情報が混乱を起こし、刺激が弱く感知されるのではないかということです。つまり、精神的な防御のために腕組みを使うというのは、外部刺激にたいして、自らの反応を鈍くして対応するという意味では非常に理にかなっているわけです。

ちょっとしたしぐさだけで、脳に影響を受けるというのも不思議ですが、このような科学的な裏付けがなくとも、経験則でそれを活用しているというのが、人間の不思議なところなのかもしれません。