極限状態の人を護るもの

日本は70年近く戦争のない平和な状態が続いていますが、世界をみわたすと、常にどこかで戦争は行われています。人と人が争い続けるという、まさに極限状態といえる戦争ですが、そんなとき、人を護ってくれるものが現れることがあります。

「モンスの天使」と呼ばれる話があります。これは、第一次世界大戦時に、ベルギーにある「モンス」という町で起こった事件が元となっています。

1914年8月末、イギリスとフランスがドイツと戦闘を行っていました。イギリスとフランスは劣勢となり、全滅寸前のところまで追い詰められていたのですが、突然、どこからともなく白馬に乗った人物が、弓をそなえた騎馬隊を引き連れて現れ、ドイツ軍に攻撃をしかけてくれたおかげで、圧倒的な劣勢から、なんとか撤退が可能となったのです。

当時の人たちは、この白馬に乗った存在があらわれる前に、翼をもった人物が空に現れたと証言したり、白衣を着た人物が傷ついた兵士を癒したなどと証言したことから、天使の軍団が危機をすくったとしてニュースにもとりあげられました。

ドイツ軍が有利だったにもかかわらず、撤退したこと、さらに捕虜となったドイツ人までもが、謎の白馬の部隊を目撃していることから、現在にいたるまで、この事件についての研究は行われています。

真相として、もっとも有力だとされているのは、アーサー・マッケンというイギリスの作家が書いた『弓兵』という短編小説の内容が、いつのまにか真実のように流布されたというもの。ただし、同小説を読んでいないはずのドイツ側にも、ある程度の証言はあるために、実際に天使が現れたのだという意見が根強いのも事実なのです。

このとき現れた存在は、大天使ミカエル、フランスの守護聖人であるジャンヌ・ダルク、イギリスの守護聖人である聖ジョージであるなどさまざまな意見があります。ちなみに、この天使の軍団は撤退を支援したものの、ドイツ兵を記事つけることはなかったのだそうです。

このように、戦争という極限状態で超自然的なものが助けてくれるという逸話は、日本にもあります。もっとも有名なものとしては日露戦争の時に現れた、死ぬことのない赤い服をきた部隊という話。

こちらは、ロシアの記録にも残っているもので、赤い服を着た日本軍の兵士は銃で撃たれても死なないので、ロシアの兵士がパニックになったのだそうです。日本軍の服装に赤いものはないのですが、似たような部隊は日清戦争の時にも目撃されています。

この正体にも諸説あるのですが、四国を本拠地にする化け狸の軍勢が、日本を護るために人間に姿を変えて参戦したといわれています。また、第二次世界大戦の時には、天狗が敵の砲弾を受け止めてくれたり、護衛してくれたという話も伝わっています。

日本の場合、天使ではなく妖怪というのが文化を示していて興味深いところですが、天狗というのは、もしかしたら、当時の日本人にはなじみが薄かった天使だという可能性もあります。共通する点としては、こういった超常的な存在は護ってくれることはあっても、積極的に敵に被害を与えていないところです。

天使や妖怪といった存在たちは、人が同じ種族同士で争うという馬鹿馬鹿しさをしった上で護ってくれているのかもしれません。愚かな人間だけが、相も変わらず続けるむなしい争いが、一日も早く地球上からなくなって欲しいものです。