全国各地にある変わったお地蔵様

「お地蔵様」といえば、日本人にとって、もっともなじみのある仏像といえるでしょう。現代でも、たいていの街にはお地蔵様が祀られています。それだけに、その中には変わった物も多くあるようなのです。

外見がちょっと変わったものとしては、東京都目黒区にある大円寺に祀られている「とろけ地蔵」があります。こちらは、江戸時代に海から引き上げられたものなのですが、名前のとおり、顔や手が溶けたような姿をしているために「とろけ地蔵」と呼ばれているのです。その名前から、悩み事をとろけさせ、解消してくれるとして、見た目はちょっと不気味ながらも、古来から多くの信仰を集めています。

また、外見は普通ながらも、向きが珍しいというお地蔵様もあります。こちらは大阪府大阪市の繁華街である梅田に祀られているもので「北向地蔵尊」と呼ばれています。

通常、お地蔵様は南を向くように安置されているのですが、このお地蔵様は名前の通り北を向いており、このようなタイプのお地蔵様は全国でも珍しいのだとか。なぜ、北を向いているのかというと、お地蔵様が祀られた当時は北側に墓地があったために、そこに葬られた人を見守って貰う、という意味が込められているのだそうです。

御利益を貰うための方法が変わっているというお地蔵様は、全国各地に存在しています。大分県にある「高塚愛宕地蔵尊」には、さまざまなお地蔵様が祀られているのですが、その中でもユニークなのは、両手で抱きかかえてお願い事をする「お抱え地蔵さま」。持ち上げたときに軽かったら、願いが叶い、重い場合はより真剣にお願いをする必要があるのだそうです。

東京都台東区にある有名なお寺「浅草寺」。こちらのご本尊は観音様なのですが、中にはちょっと変わったお地蔵様も祀られています。その名も「かんかん地蔵」。本来は小石でお地蔵様の身体を軽く叩いてお願いするというものだったのですが、いつしか、お地蔵様から削り取った粉を財布に入れると金運があがるという話がひろまり、体中を削り取られた結果、見るも無惨な姿になってしまっています。

ちょっと怖い由来を持ったお地蔵様もあります。それが大阪府淀川区に祀られている「JR下淀川鉄橋橋際延命地蔵尊」。外見はさほどかわったところはなく、木彫りで特徴は大きな耳ぐらいなのですが、その逸話は奇妙なものです。

現在、このお地蔵様が安置されているあたりで、明治時代に自殺者が多発しました。あまりにも、縁起が悪いので、雰囲気を変えようとうっそうとしげった木々を刈っていくと、大木の根元に大きな蛇が巻き付いているのを発見したのです。

この蛇のたたりに違いないと思った村の人たちは、僧侶を呼んで祈祷してもらい、大木を切り倒すことに成功しました。このときに、たたりの元となった木を元に掘り出したのが、このお地蔵様なわけです。たたりが本当かどうかはわかりませんが、首つり自殺に使われた木がお地蔵様に生まれ変わるというのは、不思議な感じもあります。

日本全国で、私たちを見守ってくれているお地蔵様。また、機会がありましたら紹介してみたいと思います。