自律神経をコントロールできれば人生もコントロールできる

四千年、五千年、あるいはそれ以上の歴史を持つヨーガ。その修行体系は、紀元前300年頃にパタンジャリ大師によって根本教典「ヨーガ・スートラ」 にまとめられました。その第二章には八部門(アシュタンガ)からなるヨーガ修行のステップが記されていますが、一般的なヨーガのイメージであるアーサナ(体位法)は三番目、プラーナーヤーマ (呼吸法)は四番目になります。これは、最も粗雑な肉体から始めて、より精妙な各次元へと段階的に進むことで、最も精妙な霊的次元の自己存在を体験できるようになっているためです。

ヨーガ本来の目的と意味

欧米では人間の存在をボディ(肉体)、マインド (精神)、スピリット(霊魂)という三つの次元からなる人間観で説明していますが、体位法と呼吸法はともに肉体次元の自己存在になります。そして大切なのは、体位法は <ポーズをとること>が目的ではなく、呼吸法は<呼吸すること>が目的ではないという点です。それでは何をしているのかというと、深い瞑想状態に入るための体づくり、より具体的には自律神経のコントロールです。

体位法では筋骨格系、呼吸法では呼吸器系を使って意識的に自律神経をコントロールします。もちろん体位法では筋力の維持、柔軟性の向上、体の歪みの矯正、呼吸法では体内に取り込む酸素量の増加や調節といったさまざまな効果があります。しかし、これらはあくまでも副次的な効果であってヨーガの有益な副産物にすぎません。

神経は、大きく 「中枢神経(脳・脊髄)」と 「末梢神経(体性神経・自律神経)」 の二つに分れます。末梢神経は中枢神経から体の隅々まで張り巡らされています。体性神経はさらに、痛い熱いなど全身の感覚を脳に伝える 「知覚神経」と、手足などの筋肉を動かすときに脳からの指令を伝える 「運動神経」 に分れます。一方、自律神経は心臓や肺、腸などの内臓に伸び、「交感神経」と「副交感神経」の二つに分かれます。体性神経は知覚や運動に関わる神経なので、その働きを意識することができますが、自律神経は無意識のうちに働く内臓や血管に関わる神経なので、本来は意識的に動かすことはできません。

欧米式プログラムの問題点

日本以外にもアジアや欧米の世界各国でヨーガを指導した体験から気づいたことがあります。それは、海外の、特に欧米のスピリチュアルリーダーたちが、神、精霊、あるいは宇宙意識といった言葉で表現される高次の存在とマインドでつながろうとしているということです。そして、彼らのプログラムからは、肉体的な実践がすっぽりと抜け落ちています。あるいは、いきなり呼吸法ばかりを長時間にわたって実習させたりします。これは大変危険なのですが、教える側にきちんとした知識も体験もないため、それらがさらに伝言ゲームのように独り歩きして世界中に広がっているように感じます。

魂は肉体を通して目覚める

ブッダは 『肉体は尊い。それは魂を目覚めさせる乗り物である。注意深く大切に扱いなさい。』 とおっしゃっています。2500年前にブッダが仏教を開くまで仏教は存在しなかったわけですが、その当時ブッダは一体何をしていたかというと、実はヨーガを修行し
ていらしたわけです。

それでは、 <肉体を注意深く大切に扱う>とは、どういう意味なのでしょう。それは体を休めるということではありません。体が本来持っている機能を十分に働かせることができる状態に整えるということです。そういう意味では、動くことも休むことも同じように必要不可欠なのです。

大切なのは、どのように休んで、どのように動くのが良いのか、ということであり、この 「どのように」 の指標となるのが自律神経のバランスなのです。そして、本来は意識してコントロールできないはずの自律神経を確実にコントロールできるのが、ヨーガの 「体位法」 と 「呼吸法」なのです。

ところで、冒頭で触れたヨーガ・スートラは四つの章から構成されています。その第三章 「ヴィブーティ・パーダ」 には、ヨーガを行じることで獲得される様々な霊能力が記されています。ブッダの言葉の通り、ヨーガで<肉体を注意深く大切に扱う>と、無理なく自然に魂が目覚めるように私たちはできているのです。

神はそこに宿る

かつて知能は脳の大きさと密接に関係していると考えられてきました。しかし、蟻や蜜蜂、粘菌のような特定の単細胞生物を観察すると、多くの個体が一つの集団として行動し、驚くべき<群知能>を発揮することが分っています。単純な構成単位でも相互作用によって高度な知能が発生するのです。

同様に、約60兆個の細胞の集合体である私たちの体も、細胞の一つひとつが個々に知能を持って一つの集団として行動しています。そして、私たちを取り巻く環境と直接コンタクトを取りコミュニケーションしているのは、脳ではなく全身の細胞一つひとつです。

言い換えれば、遍き存在である神を宿すのは、中枢神経(マインド)ではなく実は末梢神経(ボディ)なのです。

究極の能力開発法

何もしなければ、私たちの自律神経の力は、10年でおよそ15%ずつ低下してゆきます。つまり、自律神経を意識的にコントロールしなければ、人生の質は10年でおよそ15%ずつ低下してゆくのです。

ヨーガは自律神経のバランスを整え、その素晴しい力を人生において活用する究極の能力開発法なのです。その効果は、健康維持にとどまりません。一つひとつの細胞を活性化することで、霊的な力も含めて持てる能力を最大限に発揮することができるようになり、
人生全般にわたって、すべてがプラスに転じてゆくのです。

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■ 皇村慈辰 プロフィール
皇村
ディープヒマラヤで伝統ヨーギとしての聖名「チットラナンダ・ヨーギ」を拝受。
インド中央政府の公認ヨーガインストラクターであり、ヨーギック・ロゴセラピーでは講師を勤める。