以前に、死後のことを考える「終活(しゅうかつ)」について紹介したことがありますが、今回は、最近人気を集めているという、ちょっと変わった終活について紹介したいと思います。

それは「入棺体験(にゅうかんたいけん)」。これは、私たち人間が死んだときに必ずお世話になる「棺(ひつぎ)」に、実際に入ってみるというもの。人の死と関わりのある職業の人が、死について向き合うために、実際の納棺と同じ手順で棺に入ってみるというのは、今までにもありましたが、最近では一般の人にもその門戸が開かれているのです。

「ウィルライフ」という葬儀会社が運営する「ecoffin LABO」では、現代にあわせた葬送の情報を提供するだけでなく、それらを学ぶ場も提供しているのですが、その一環として、同社がつくった環境に優しい棺に実際に入ってみるという「入棺体験」が行われています。

こちらは、月に1回程度のペースで開催されており、参加費は一人1000円。時間は1時間から1時間30分程度で、ドリンクスナック付きという、お手軽感覚で体験できるものとなっており、定員が6人程度と少ないこともあって、毎回告知と同時に満員になるほどの人気なのだそうです。参加者は必ずしも高齢者だけでなく、若い人が真剣に生死の問題や、葬儀に関して知りたいという思いで参加することもあるとのこと。

棺は古代から世界各地に存在しており、人が死んだら棺に納められるというのは、形の違いはあるものの、多くの文化で共通しています。日本を含めて火葬が中心となった現在では、棺は焼かれて消えてしまうものですが、肉体とともに、消滅するものだからこそ、内部に入ることでいやがおうでも死を意識させられるのかもしれません。

ちなみに、日本では棺というと長方形のものが基本であり、アメリカなどでもおおよそ外見は似たようなものですが、ガーナ共和国では、葬儀というのは、故人が肉体から解放されたことを祝うものである、という風習があったことから、故人の趣味や個性を反映させた特別な棺を作るのだそうです。

ガソリンスタンドのマネージャーだった人の棺は給油機型をしていたり、お酒が好きな人はビール瓶型、音楽家はグランドピアノ型、さらには飛行機や船、自動車を象った棺もあるようです。同じ死者のためのものでも、こういった形の棺に入った場合、死を想うにしても、あまり深刻なものではなく、むしろ旅立つ日が楽しみになってくるかもしれません。日本でも、一部で「痛車(いたしゃ)」と呼ばれる、アニメの絵をプリントした車などが流行しているので、今後は自分の好きなキャラクターがプリントされた棺を最後の居場所にしたいという人が出てくるような気がします。