ここ数年、「ゆるキャラ®」ブームが起こっています。ゆるキャラとはみうらじゅん氏によって提唱された「ゆるいマスコットキャラクター」のこと。当初は地方の村おこしなどで使われるキャラクターを指していたようですが、最近ではそのあたりは曖昧になってきているようです。発祥は2000年頃といわれていますが、ブームになったのはここ5年ほど。しかしながら、古代からゆるキャラ的なものは存在していました。

ゆるキャラブームの火付け役になったのは、彦根城のイメージキャラクター「ひこにゃん」だといわれていますが、現在では全国各地に100体以上のキャラクターが存在しています。

最近では、アメリカの『ウォールストリートジャーナル』でも、ゆるキャラが取り上げられ、熊本県のゆるキャラである「くまモン」などが紹介されました。ちなみに、くまモンはグッズの売り上げだけで、年間20億以上あるという、現在のゆるキャラの顔ともいえる存在なのです。

基本的に村や県、企業などの公認だったゆるキャラですが、最近では非公認のゆるキャラまで登場して人気となるなど、まだまだゆるキャラブームは続きそうですが、3000年以上前にもゆるキャラ的な風貌をもった存在がいました。

古代エジプトで、死者とともに埋葬された『死者の書』と呼ばれる文章があります。こちらは、死者の魂が、無事に死後の世界へとたどり着けるようにと、絵と「ヒエログリフ」と呼ばれる古代エジプト文字で書かれた、いわば死後のガイドブック的なもの。

『死者の書』には、何柱もの神々が描かれており、冥界の神である犬の頭をもった「アヌビス」や、死後の世界を支配する「オシリス」などが基本なのですが、その中に、まるで子供がシーツを頭からかぶっただけのような奇妙な神様がいます。

この神様が話題になったのは昨年の夏、六本木で大英博物館の古代エジプト展が開催され、全長37メートルもの長さを誇る最長の『死者の書』が公開されたのがきっかけでした。そこに「名前のわからない神」として、前述した神様が描かれています。

話題になったことから、詳しい人が調べたところによると、この神様の名前は「メジェド」。目には見えない存在でありながら、目で敵を倒したり、火を吐いたりするということで、見かけによらず恐ろしい神様だといえるでしょう。興味のある方は「メジェド」で検索すればすぐに姿を見ることができます。筆者としては藤子不二雄著『おばけのQ太郎』を思い出しました。

一方、日本でも平安時代の儀式書に不思議なキャラクターが登場したのが最近発見されました。『北山抄(ほくざんしょう)』という、儀式の手引き書があるのですが、そこに脈絡も無く50個以上の猿の顔をした印が押されているのです。

この猿も儀式書という、スピリチュアルかつ、堅い書物とは思えないユーモラスな顔をしているのですが、前述のメジェドと違って、果たしてどういう理由で記されたのかは、現在のところわかっていません。いったいどんな顔なのか? 興味のある方は宮内庁のページをご覧下さい。

このようにみてくると、ゆるキャラブームの現代ですが、リアルからちょっとずれた存在であり、なおかつどこかユーモラスな存在というのは、神々や精霊としてスピリチュアルな世界で存在していたものが発祥なのかもしれません。