2012年10月21日、列聖式がヴァチカンで行われ、新たに7名の聖人が誕生しました。聖人について、何度か紹介してきました(その1 その2)が、本日は、聖人となる道のりと同時に新たに聖人となったのは、どんな人なのかも紹介したいと思います。

聖人を認定するためのマニュアルが存在することからもわかるように、聖人に認定されるためにはカトリックの総本山であるヴァチカンの厳しい審査を受ける必要があります。どのようにして、審査がはじまるのかというと、聖人と思われるような行いをした人が亡くなったあとで、ヴァチカンの列聖省に『認定願』が出されます。この『認定願』が出されないと、そもそも聖人に認定されることはありませんので、ものすごい能力があったとしても、孤独で人に尊敬されないような人は聖人にはなれないということになります。

キリスト教徒は全世界に存在していますので、列聖省には世界中からものすごい量の『認定願』が届くわけですが、まずは調査に値すべき存在かどうかという審査があり、それを通って初めて厳格な調査が開始されます。この調査は非常に細かいものであり、これだけでもかなり時間がかかるのですが、さらに最低でも2つの奇跡を起こしたと認定されないと聖人としては認定されません。

1つの奇跡だけだと、聖人の前段階である福者となり、さらに別の奇跡が認定されてようやく聖人となるのですが、これも自動でなるわけではなく、各段階でそれぞれ申請がいるということで、列聖「省」というだけあり、日本のお役所仕事並の手間がかかるようです。

こういった事情もあり、聖人が認定されるまでには、早くとも数十年、長い場合は数百年というものすごい時間がかかるのです。今回聖人として認定された人たちも、このような膨大な時間をかけて申請と調査が繰り返された結果、ようやく認められたのです。

今回、7名が聖人として認定されたということですが、その中でももっとも注目を集めているのは、今から300年ほど前に活躍した「カテリ・テカクウィタ」という女性。特徴的な名前からすでにお気づきな方もいるかもしれませんが、彼女はネイティブ・アメリカンでありながら、はじめて聖人として認定されました。

24歳という若さで亡くなった彼女は、自分が所属する部族からの迫害にも負けずに信仰を貫いたことで知られており、ネイティブアメリカンの少年が彼女に関連した奇跡で病から回復したことが2度目の奇跡と認定されたことで、死後300年以上たって聖人となりました。

こうやってみると、奇跡がいつ起きるかが、聖人として認定される期間が長いか短いかのポイントのひとつとなっているような感じがありますが、奇跡を受けた人が2人とも存命で、なおかつ列聖式に参加しているケースもあります。今回認定された聖人のひとりであり、19世紀にハンセン病患者の治療に生涯を捧げたマザー・マリアンヌは、今から100年ほど前に亡くなっているのですが、1992年と2005年という比較的短い期間に連続で奇跡が起きたことから、100年足らずで聖人に認定されました。どちらも病気が回復するという奇跡なのですが、近年に起きたということもあり、奇跡を受けた方が今回列聖式に参加できたというわけです。

キリスト教やカトリックという宗教についての是非はおいておくとしても、数百年前に起きたことを忘れずにずっと申請を続ける人々、そしてそれをちゃんと調査し続ける組織というのはとても立派なものであり、世界的な癒しの形として、今後も続いていってほしいものです。