食べることで体を癒やす

皆さんは「薬膳(やくぜん)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 最近では薬膳専門のレストランも比較的増えてきましたし、薬膳に関して学べるような場所もありますので、すでに食べたり、学んだりしたという人もいるかもしれません。今回は 2,000年以上前から伝えられてきたと言われている、薬膳について紹介したいと思います。

薬膳とは、簡単に言ってしまうと食物を食べることで体を癒やす方法のこと。日本では「医食同源」と言ったりもしますが、食材の性質を知り、バランスよく取り入れることで体のエネルギーバランスを整え、それによって病気を治したり、病気にかからなくしたりすることを目的としているのです。

最近、「未病(みびょう)」という言葉が一般的になりつつありますが、これは病気が表面化してはいないけれども、放っておくと病気へと進展してしまうような状態のことを指します。つまり、この状態の時に適切な対処をすることができれば、重篤な病気になる前に回復することができるということになります。

この未病について、中国最古の医学書と言われている『黄帝内経(こうていないきょう)』で紹介されています。この医学書は 2,000年以上前に作られたものですが、現在でも広く使われている、鍼灸や気功、漢方などの要素が全て含まれているものなのです。

薬膳もこの黄帝内経を元にしているのですが、その思想の根本には陰陽五行説があります。これは、世の中に存在するもの全てを陰と陽、さらに木火土金水の5種類に分けるというものですが、薬膳では果物や、穀物、肉、野菜などを五行によって分類し、さらに人間の体の臓器も同じく分類して、それぞれを組み合わせることで効果を引き出していくのです。

たとえば、五行の木は色では「青」であり、臓器で言うと「肝」を表し、味では「酸」、穀物では「麦」、果物では「スモモ」というように分類されます。木のエネルギーが不足することで、顔色が「青く」なり、「肝」の機能が低下します。この肝とは、特に肝臓だけを指す物ではありませんが、肝臓も一部に含まれますので、肝機能が低下して解毒作用が弱くなったりすることもあります。

それに対処するためには、木の気を取り込むのが基本となります。つまり、「麦」や「スモモ」、また「酸味」の強いものを食べるということになります。ただし、逆にこれらの要素を取り過ぎることでバランスが崩れて、木のエネルギーが過剰となって不調が出る場合もありますので、その辺りは総合的に見ていく必要があるようです。

これはあくまでも、ざっくりとした説明であり、さらに5つの味が持つ作用や、食品が陰か陽か、食材の配合などはどのようにしたらいいのか? など、いろいろな知識を学んでいく必要があります。

とはいえ、しっかりと学ぶことができれば、資格が必要な薬品ではなく、普通にスーパーや八百屋さんなどで売られているものを使って体を癒やすことができるようになりますので、料理が好きでなおかつ、癒やしに興味のある方は薬膳を学んでみることをオススメします。

薬膳というと漢方薬を使うようなイメージが強いかもしれませんが、漢方薬などを使わずに、既存の食材と五行を使って行うだけでも十分エネルギー的には意味があると思いますので、難しく思わずに一度チャレンジしてみたらいかがでしょう?