人間固有の病気

動物には存在せず、人間だけに懸かるいわゆる「人間固有の病気」というのはいくつかありますが、その中でも、日本人の3人に1人がかかっているというほど一般的な病気があるのをご存じでしょうか?

その病気とは「痔(じ)」。いろいろな種類がありますが、肛門付近の血流が滞ることによって発生する疾患のことを指します。

場所が場所だけに、あまりおおっぴらに人に言うことができない病気ですが、この病気は人間以外の動物がかかることは無いと言われています。なぜかというと、人間が痔になる最大の原因が二足歩行だからなのです。二足歩行をすることによって、腰やお尻の部分で、上半身や頭など重い部分を支えるようになった結果、血流が滞り、痔になってしまったというわけです。

それなら、猿なども痔になるのではないか? と思われるかもしれませんが、痔になる理由のひとつとして、人間は便意を催したとき、すぐにトイレに行けるとは限らず、また長時間ガマンすることができるというものがあります。

電車などの交通機関の中や、重要な会議をしている時、もしくは近くにトイレが無い状況などの場合、ある程度の年齢を過ぎていれば人間は便意をかなり長い時間ガマンすることができます。しかしながら、これが血流を滞らせて、痔を生み出す原因となっているのです。

これに比べて、野生の動物の場合、そもそもガマンする必要がありません、そのため、便意を催したらすぐに排泄することができるため、痔になりにくいということなのです。

長時間の立ち仕事や、座り仕事も痔の原因とされていますが、今のようにオフィスワークが増える昔から、人間は痔に悩まされていたようです。特に立ち仕事を長時間続ける農民に痔が多かったようで、それを直すためのお祭りも存在していました。

そのお祭りとは栃木県の国神神社で行われる「じかたまじない」。名前的に考えると、もともとは土着のおまじないだったようにも思えますが、現在では国神神社という神社で行われています。これはこの神社が大国主命を祀(まつ)っており、大国主命が医療の神様でもあることから行われるようになったのだと言われています。

このお祭りは、昭和初期までは観光バスで人が訪れるほど有名だったようですが、1998年を最後に行われていなかったそうです。しかしながら、伝統文化をこのまま失うのは惜しいという声が上がり、14年ぶりに復活しました。

いったいどんなお祭りなのかというと、もともとは川でお尻を洗った後に、神に捧げた後の卵をもらい受けて食べることで痔が治癒する…というものでした。現在ではさすがに川でお尻を洗うことはできないので、「尻洗いの石」という卵形の石の前で「けつびたし!」と叫びながら尻を突き出して痔の予防と治療を祈願した後に、卵をもらうという形になっているようです。

痔の治療方法としては、患部を清潔にした上で栄養をしっかりと摂るというのは理にかなっており、川でお尻を洗ってから、昔は貴重だった卵を食べて、滋養をつけるというのは「まじない」という名前はついていながらも、科学的な方法だと言えるでしょう。

最近、このように「一度は行われなくなったお祭りが復活する」ということが増えてきているようですので、今後もこういったものがあったら紹介していきたいと思います。