神様を導く照明

お寺や神社などでよく見かける灯籠(とうろう)。照明や飾りというイメージが強い灯籠ですが、実はとてもスピリチュアルなものだったのかもしれません。

灯籠とは元々は、火が風などで消えないように紙などで囲いをしたものだったそうです。日本には仏教と共に伝来したこともあり、主にお寺で使われていました。

照明器具全般を当初は灯籠と呼んでいたようですが、その後、室内で使うものは行灯(あんどん)、手持ち式のものは提灯(ちょうちん)というように名前が変わっていったようです。行灯や提灯などは、完全に実用的な照明器具ですが、仏教と共に伝わってきた灯籠には実用性以外のものも隠されていたようです。

当初寺院で使われていた灯籠ですが、平安時代頃からは神社にも取り入れられます。これらの灯籠はほとんどが「献灯(けんとう)」といって、神仏に捧げるために奉納されたものだと言われています。

神社やお寺で灯籠をじっくりと観察したことがあるでしょうか? 灯籠の多くは神様に捧げるために作られたものですので、じっくり見てみると様々なシンボルが込められていることがわかります。

灯籠の代表的な種類として春日型(かすががた)というものがあります。これは寺社仏閣で一番多く見かける形ですが、そこには春日大社の神使である鹿の姿や、雲や月、霊山である春日山(別名 三笠山(みかさやま))などが描かれているのです。

現在では、単に伝統的なシンボルとして、決まった意匠としてこれらが使われているようですが、灯籠が造られ始めた頃には、それぞれの神社にあったシンボルが使われていたのかもしれません。清水寺にある石灯籠からは、そこに刻まれた虎が抜け出すという逸話もあることですし、スピリチュアルなシンボルを刻むことで、灯籠にそれらの力を宿らせようとしていた、というのは考えすぎでしょうか?

日本には、灯籠流し、もしくは精霊流し(しょうりょうながし)という風習があります。これは死者の魂を弔(とむら)うために、お盆に灯籠を川に流すという行事です。灯籠に帰ってきた死者の魂を預けて、あの世へと送り返すのです。

こうやって歴史的な事実を見てくると、灯籠には単なる照明器具として以外の側面があるように思われてなりません。しかしながら、灯籠に関してはスピリチュアルな分野の研究はほとんどされていないようです。

筆者はシンボルなどから考えると、灯籠とは神仏の眷属を宿らせ、それらが参道を飾ることで神仏を無事に本殿まで導くための装置であるように感じています。

神社仏閣を訪れると、かならず目にすることのできる灯籠。あまりにも当たり前に存在するので、ついつい見逃しがちですが、本殿や仏像だけでなく灯籠にも注意を払ってみて下さい。なにか、新しい発見があるかもしれません。