なでしこの持つ女神の力

先日、日本代表の女子サッカーチーム「なでしこジャパン」がワールドカップで優勝して大きな話題となりました。男子が未だに果たしていない偉業を成し遂げたわけですから日本中が熱狂するのも当然と言えるでしょう。

団体で初となる国民栄誉賞を受賞するなど、まだしばらくはニュースなどからその名前が消えそうにない「なでしこジャパン」ですが、この名称は男子サッカーに比べてマイナーで、あまり人々になじみがない女子サッカーをより親しみ深くするために付けられた愛称なのだそうです。

この愛称を決めるために 2004年5月から1ヶ月程度の公募が行われ、締切までに集まった 2,700通の中から「なでしこ」が選ばれました。この名称を考えた人がどのような意図を持っていたのかは知りませんが、スピリチュアルな観点から見ても、女性を守護してくれるのにぴったりの言霊だったと言えるのです。

スピリチュアルな話題に入る前に、まずは花の「なでしこ」について紹介しましょう。この花は夏から秋にかけて開花するもので、秋の七草の一つとなっています。古くから園芸品種として好まれていたために、多くの種類があり、母の日にプレゼントするカーネーションもなでしこの仲間です。

なでしこという言葉が「撫でし子」に通じることから、和歌などでは子供や女性に例えられてきました。日本最古の和歌集である『万葉集(まんようしゅう)』にもなでしこを詠んだ歌があるということですので、どれだけ古くからこの花が愛されていたのかということがわかります。

現在では死語になりつつある日本人女性のイメージ「大和撫子」は、なでしこの一種である「かわらなでしこ」の別名。可憐で繊細だけれども、しっかりとした強さを持つなでしこの花に女性を見立てているわけです。

この大和撫子に、とてもスピリチュアルな意味合いがあるのです。古事記や日本書紀に登場する素戔嗚尊(すさのおのみこと)の妻である櫛名田比売(くしなだひめ)の別名が「やまとなでしこ」、つまり大和撫子とは女神の名前だったのです。

櫛名田比売とは、八岐大蛇(やまたのおろち)の生け贄にされそうになっていたところを、素戔嗚尊によって助けられ、その後素戔嗚尊の妻となった存在で、神聖な稲田を守護する女神とされています。

なぜ櫛名田比売が「やまとなでしこ」という別名を持っているのかというと、彼女の父母がそれぞれ手足を撫でるという意味の名前を持っていたことから「撫でるように大事に育てられた姫」という意味で「やまとなでしこ」となったのだそうです。

前述したように「撫でし子」が子供に例えられるというのは、優しく手で撫でて慈しまれている存在=子供という発想から来ているのですが、櫛名田比売の場合は、それがさらにパワーアップされたという感じでしょうか?

ヒーリングの手法でも優しく撫でるという方法を使うものはいくつもありますので、もしかしたら、日本の古来にあった守護と癒しの形が「撫でる」ということなのかもしれません。

そんな女神の力や、優しさと愛情がこもった言霊を持った「なでしこ」、そして、その名前を冠した女子サッカーチームが、震災後のこの時期に世界一になったのは偶然ではないと思うのは筆者だけでしょうか?

しっかりと愛情を持って、優しく撫でる。単純なことかもしれませんが、こんな時だからこそ、この気持ちを常に忘れないで欲しい。そういう櫛名田比売からのメッセージが伝わってくるような気がします。