お坊さんの秘密がわかる漫画

お坊さんや神主さんというと身近なようで、意外とどんな生活を送っているのか? どのようにしてそういった職業に就くのか? というのは知られていないように思います。今回紹介するのは、そんなお坊さんの秘密を分かりやすく紹介してくれる漫画。

『坊主 DAYS』(杜康潤著 新書館刊)は、お寺の娘である作者が、実家のお寺を継いだお兄さんにいろいろとインタビューした内容を漫画にしたもの。

仏教には色々と宗派があるのですが、この漫画に登場するのは「臨済宗」。臨済宗は禅宗のうちの一つで、日本では曹洞宗(そうとうしゅう)と並んで禅宗を代表する宗派です。

基本的には座禅を修行の中心として行う宗派を禅宗といい、以前に紹介したことのある ダルマ のモデルとなった達磨大師が祖だとされています。その中にも微妙に違いはあり曹洞宗は座禅を重視し、臨済宗は公案という悟りを開くための問題を重視しているのだそうです。

この漫画で描かれるのは臨済宗ですので、座禅はもちろんですが公案についても紹介されています。ただ、面白いのはそういった専門的な部分ではなく、むしろ普通の書籍などではあまり知ることの出来ない修行風景などです。

筆者は以前、「実家のお寺を継ぐために修行で本山にこもっていた」という人の話を聞いて、かなり大変そうだなぁと思ったことがあるのですが、修行が厳しいことでも知られている禅宗の修行はさらにハードだということを、この漫画を読んで知ることができました。

どれぐらいハードなのかというと、修行をするために入門を許されるまでに、玄関で2日間頭を下げる、壁に向かって3日間座禅を組み続けるなど。さすがに、体を壊さないような配慮はされているようですが、生半可な気持ちでは入門することすら難しそうに思います。

このように書いていくと難しい話ばかりのようなイメージがあるかもしれませんが、そこは漫画ですので、正しい仏教の知識を伝えながらも随所にギャグが散りばめられており、楽しい気持ちになりつつ仏教を学ぶことができます。

筆者は仕事柄、各種宗教については人よりも知識があると思っていたのですが、この漫画を読むことで、初めて知ったことがいくつもありました。前述の禅宗に入門するための困難さもそうですが、托鉢(たくはつ)に免許があるというのはかなりの驚きでした。

最近ではあまり見かけることも無くなりましたが、托鉢という僧侶が信者や町の人から、供物(くもつ)を受け取るために家や道を行脚(あんぎゃ)するという行為があります。道ばたでお経を唱えたり、家の軒先でお経を唱えたりして、食料や寄付をもらうわけですが、この行為を行うためには各宗派が発行した免許が必要なのだそうです。

修行目的ではなく、金銭目的じゃないの? という妖しい托鉢僧をたまに見かけますが、そういうときは免許の提示を求めてみれば本物かどうかすぐにわかるというわけで、非常にためになる知識を得ることができました。

他にも僧侶の結婚式や、お寺ならではのお正月の忙しさ、1週間ぶっ続けて座禅と公案を行う過酷な修行など、興味深い内容がいくつも紹介されていますので、仏教や禅宗に興味のある方は読んで見ることをオススメします。かわいらしい絵と、ほっこりしたギャグのおかげで難しい仏教の内容があってもスラスラと読めてしまいますので、活字嫌いの方でも安心ですよ。