ゾンビが発生した場合の対策

「ゾンビ」という名前を聞いたことがあるでしょうか? 大抵の方は一度や二度は聞いたことがあるのではないかと思います。ホラー映画の定番とも言える動く死体のことが一般的にゾンビと呼ばれていますが、そのゾンビが発生した場合の対策法が発表されました。

Zombie Apocalypse」と題された記事が 2011年5月16日(月)に投稿されたところ、1週間でものすごい量のページビューを集め、さらにロサンゼルスタイムズなどの大手メディアから紹介されたこともあり大きな話題となりました。

アメリカ人は基本的にゾンビファンが多く、ホラー映画にもさまざまなゾンビが登場することから、ゾンビの対処法について書いたページはインターネット上には無数に存在しています。それが、なぜ今回に限ってここまで話題になったのかというと、このページが CDC(米国疾病予防管理センター)によるブログだからなのです。

CDC とは映画などにもたびたび登場する感染症予防の権威とも言える世界的機関であり、感染症が流行するときには必ずその名前が挙がると言っても過言ではありません。そんな機関がゾンビに対する対処法を公開したというのですから、世間の興味を集めないはずがありません。

内容としてはゾンビが感染性ウィルスによって伝染していくと仮定して、それに対処するためには、水や食べ物などの非常用セットを用意しておく、避難経路を確認しておくなど、非常に一般的な内容が続きます。ゾンビに追われた場合にどうするか? や感染しないためには? などといった内容はありません。なぜなら、この内容はゾンビをタイトルにしていますが、実際にゾンビが発生する可能性があるというわけではなく、アメリカの多くの人たちの災害に対する意識を高めるために、どうしたらよりインパクトがあるかを考えた結果、書かれたものだからなのです。

先日もニュースになったように、この時期のアメリカはハリケーンなどの被害が起こりやすい時期のために、前もって災害に対する心構えをして、準備を整えておいて欲しいというわけです。ちなみに、なぜゾンビがテーマになったのかというと、アメリカ人がゾンビ好きということもありますが、日本の原発事故に絡んで放射能によってゾンビが生まれないのか? と多くのアメリカ人が不安になっていたためという話もあります。

結果的にこのキャンペーンは大成功し、ページビューは最終的に通常の 1,000倍以上にふくれあがり、一時期サーバーがダウンするほどだったそうです。日本の放射能云々に関連してはちょっと複雑な気持ちですが、これをもとに災害対策をする方が一人でも増えてくれるのならば、それもまた、ありかもしれません。

ちなみに、ゾンビですが、本来はブードゥー教という宗教に登場するもので、映画のように伝染したり人を食べたりするものではなく、司祭によって使役される呪術的な存在でした。ゾンビの存在は現在でもブードゥー教を信仰する地域では信じられており、ゾンビパウダーという特殊な薬で人の意識を奪って死体のようにして使役するという説や、村八分的にされた人を死体として使役するという説など、さまざまなものがあります。

本来は奴隷的な存在だったゾンビが、動いて人を襲って仲間を増やしていくという、今現在のイメージが作られた原因は 1968年に上映された『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』という映画だと言われています。動く死体というゾンビと、血を吸って仲間を増やす吸血鬼のイメージを融合したことで、今のようなゾンビが生まれ、いつしかそちらのほうがスタンダードになっていったのです。

ゾンビ映画が大人気になったことで、本来は呪術的な手法によって生み出されていたゾンビは、薬品やウィルスなどによって生まれるものというイメージが強くなっており、前述の CDC の対処法もこちらが元になっているわけです。

2012年に向けて、いろいろな変化が起こっている世界ですが、自然災害だけでなく本当にゾンビが溢れてくるようなことだけは無いことを祈りたいものです。