薬の雨が降る日

本日、5月5日といえば「こどもの日」ですが、実は「薬の日」でもあるのをご存じでしょうか?

5月5日がなぜ「薬の日」なのかというと、よくある語呂合わせなどではなく、れっきとした由来が存在しています。西暦 611年の5月5日、推古天皇が奈良で鹿の角と薬草を採取する薬狩りを行い、それ以降この薬狩りが恒例行事となったことから5月5日が薬の日になったのだそうです。

薬草はわかるけど、なんで鹿の角? と思うかも知れませんが漢方では鹿の角を鹿茸(ロクジョウ)といって薬として使っているのです。この角は成長途上の若い鹿の角でなければいけないのだそうです。効能としては滋養強壮に良いとされており、血管の拡張作用があることから、心臓への強心剤としても使われることがあるのだとか。

この薬狩りで鹿の角と一緒に採取された薬草の中には、菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)なども含まれていたそうです。5月5日に菖蒲湯に入るという風習があるのも、この名残と言えるでしょう。菖蒲や蓬は香りが強いために、その香りによって魔を避ける力があるとされてきました。

また、5月5日には「薬玉(くすだま)」を作って軒先にかけるということも行われていたようです。この薬玉は運動会や式典などで割られる薬玉の大元と言えます。現在では単に中に垂れ幕が入った「なんとなくおめでたいもの」というイメージしか無いかもしれませんが、実際は邪気を祓(はら)い魔を避けるものとして使われていたのです。

なぜ、こんなに5月5日は魔除けの要素が強く出ているのでしょうか? 一説によると5月5日は魔の降る日とされていたそうです。旧暦の5月は雨が多く、それによって食物にカビが生えやすくなったりするのを魔のせいだとしていたと言われています。

天から降ってくる魔を避けるために、菖蒲や蓬を飾った薬玉を使っていたというわけですが、面白いことに普通に降ってくる雨は魔のものとされていたにも関わらず、竹の節に溜まったものは逆に神水となって、薬の薬効を増すとされていたのだそうです。どうして、そんな二面性が生じたのかは定かではありませんが、5月5日が薬に強く結びついている日だということは間違いないようです。

現在の暦だと雨が降ることは少ないかも知れませんが、もし雨に打たれら、菖蒲湯に入って体をしっかり浄化したほうが良いのかもしれませんね。