物質化現象って?

先日、インドの宗教者であるサティヤ・サイババ氏が亡くなったというニュースが流れました。

サイババ氏はインド人であり、インド全土に多くの信者を持つと言われていますが、1990年代には日本にも紹介され多くの人に知られるようになりました。インドでは無料の病院や学校を作ったり、水道の無い地区に粋を供給するための施設を作ったりと幅広い社会奉仕事業を行っているのですが、日本での一般的なイメージは「超能力者」というのが多いようです。

2011年4月24日(日)にサイババ氏が亡くなったニュースを見ると、大抵が宗教指導者などという風に書かれていますが、付随して超能力者という肩書きがついているものも多く見られます。彼の教えは愛と神を中心としていて、全ての人を等しく愛して助けるようにというものだったわけで、超能力者という肩書きは本人としては不本意だったのではないでしょうか。

彼に超能力者というイメージがあるのは、ヴィブーティーという聖灰や指輪、時計などを何も無い所から出現させるという奇跡を度々起こしたことがクローズアップされたためでしょう。この現象は物質化もしくは物品引き寄せ(アポーツ)などと呼ばれているものです。

こういった名称ができたのはかなり昔のことで、19世紀頃に心霊主義、いわゆるスピリチュアリズムというものが台頭してきた頃にできたとされています。心霊現象の中でも、物理的な効果が現れるものは分かりやすく、なおかつ研究もしやすいことから一般の人から科学者まで多くを惹きつけたのです。

そういった物理的心霊現象には様々なものがあり、その中に物質化現象とアポーツも含まれています。ただし、心霊主義でいう物質化現象はエクトプラズムという物質を使って、一時的に霊が物理的な姿を現すことを指しています。

エクトプラズムというのは、霊媒の体から出てきて、霊を物質化させるのを助けるための素材であり、現実の物質と霊的存在を構成する要素の中間であると考えられていたようです。白いもやのような姿をしており、場合によってはゲル状の物質にもなったと言われています。

アポーツは文字通り、離れた場所にある物品を瞬間的に移動させて手元に取り寄せるというもので、サイババ氏の能力はどちらかというとこちらに近いような気もします。

物質化現象にしろアポーツにしろ、とてもインパクトのある現象ですが、どちらも多くの例が手品であったとされて、20世紀にはエクトプラズムを含めてねつ造だという印象が強くなってしまったようです。

それから 100年近く経って、何も無い所から聖灰や指輪を取り出すという奇跡を行うサイババ氏が登場したので、その奇跡はセンセーショナルに取り上げられることになりました。心霊主義の時と同じように、彼の奇跡についても手品だという説はありますし、それについての本なども出版されています。

個人的には物質化現象やアポーツなどの能力を持った人は確かに存在したのではないかと思います。しかしながら、わずかな本物が行うそういった現象を解明するよりも、手っ取り早く再現できる手品を使う人を暴き出す方が簡単なので、全てが手品だというふうに考えられるようになってしまったのではないでしょうか。

サイババ氏の能力が本物かどうかはともかくとして、手品だという説がありながらも、自らの道をしっかりと進んで、自分の理念を体現するような社会事業を続けたというのはとても素晴らしいことだと思います。

今後、こういった能力を持った人が表に出てくるかどうかはわかりませんが、全てを手品やトリックだと批判するのではなく、きちんとした尺度を持って検証できるような意識を持ち続けたいものです。