死の星

太陽系の惑星では、現在の所地球外には生命は見つかっていません。そういう意味では全ての惑星が「死の星」と言えるかもしれませんが、その中でもさまざまな意味合いで死の要素を持っている星があります。

その星の名前は「冥王星」。1930年に発見されてから 2006年までは太陽系9番目の惑星とされていた、太陽から遠く離れた場所にある星です。

惑星だとされていた冥王星が現在のように準惑星となったのは、冥王星の近くにある小惑星の中で、冥王星とほぼ同じ大きさのものがいくつも見つかったことが発端となっています。冥王星を準惑星にした決定打は、エリスという名前の星で、当時は「2003UB313」という名前でした。この星が冥王星よりも大きかったために冥王星が惑星だとは言いにくくなりました。ちなみに地球の衛星である月はエリスよりも大きいのです。

このエリスというのはギリシャ神話に登場する女神で、争いと不和を司(つかさど)るとされています。他にも冥王星の近くにはカロンとケレスという小惑星があるのですが、カロンはギリシャ神話に登場する冥府の河の渡し守の名前であり、ケレスは同じくギリシャ神話に登場する大地と冥界の女神の名前です。

こうしてみると、冥王星の周りの星がすべて不吉な要素を持っていることがわかります。冥王星が読んで字のごとく冥界の王=プルートが由来となっていることから、周りの星も近い要素を持った名前が選ばれたのでしょう。

プルートはギリシャ神話の冥界の神ハデスがローマ神話に取り入れられたものとされています。他の星がギリシャ神話由来なのに比べて、プルートだけがハデスでは無いのはちょっと不思議な気もします。

太陽から離れた場所にある暗闇に存在すると言うことから、冥界がイメージされて、冥界の王の名前がつけられたのだそうです。日本では冥王星という訳になっていますが、ベトナムでは日本語に直すと閻王星=閻魔大王の星などとしていることからも、世界中で死の星というイメージは統一されているようです。ちなみに、最近話題にのぼりがちのプルトニウムも冥王星にちなんで命名されています。

本来は暗闇=冥界というイメージで付けられたはずの冥王星という名前ですが、最新の観測データによるとその大気は人間にとって有害な一酸化炭素を多く含むことがわかってきました。人間が一酸化炭素を吸入すると知らず知らずのうちに中毒になり、徐々に体が動かなくなっていきます。また、高い濃度の一酸化炭素を吸った場合には急激に昏睡状態に陥り最終的には呼吸が止まり、死に至るのです。つまり、イメージだけでなくその大気の組成も人間にとっては、まさに死の星だったわけです。

イメージ的にも実際的にも死のイメージが深くまとわりつく星である冥王星。そのスピリチュアルな力は強く、惑星で無くなったことで、占星術の世界では大騒ぎになったと言われているぐらいです。死というとネガティブな印象が強いかも知れませんが、死や再生、そして深い神秘などの強い力を持つ冥王星のエネルギーへと想いを馳せてみるのは有意義な体験だと思います。