本来の祭りの意味とは?

これから夏に向けて、日本各地でさまざまなお祭りがひらかれます。日本三大祭りと言われている大規模なお祭りは5月から8月にかけて開催されるのをご存じでしょうか?

日本三大祭の定義は諸説あるのですが、一般的には5月に開催される東京の神田祭、6月下旬から7月下旬まで行われる大阪の天神祭、7月中まるまる開催される京都の祇園祭が三大祭りだといわれています。

どれもが大変有名なお祭りで多くの人が参加し、観光客も集まることで知られていますが、実は夏祭りというのは古代には存在しなかったようなのです。有名な民俗学者である折口信夫さんによるともともとのお祭りは、秋祭り、冬祭り、春祭りの3種類であり、なんとそれらを一晩のうちに行っていたというのです。

一晩のうちに季節が過ぎるの? と不思議に思うかも知れませんが、大晦日の夕方が秋祭り、夜が冬祭り、そして元旦になると春祭りというような感じで、大晦日から元旦にかけての日の移り変わりを季節として捉えていたようなのです。

現在のような暦が中国から伝わってくるにつれて、まとまっていた3種類のお祭りが分割され、秋祭りが最初に独立し、それから冬祭りと春祭りも独立していったのだそうです。ただ、お祭りそれぞれが持っている意味合いは、現在の秋祭りや冬祭りとそんなに変わってはいなかったようです。

具体的にいうと、秋祭りはその年の収穫を神へと捧げる豊穣のお祭り。冬祭りは年神を招き穢(けが)れを祓(はら)う浄化のお祭り。春祭りは新しい年の豊作や健康を祈る新年のお祭り…といった感じになります。現在では、冬祭りはお正月という形になっているような感じもあります。

ちなみに、夏祭り は以前にも紹介したように、本来は冬祭りで祓っていた穢れを夏に祓うようになったのが始まりだとされています。穢れを祓うという神道的な意味合いと、お盆という仏教的な意味合いが混ざり合うことで、夏祭りというのは、穢れを祓い、死者を弔い、そして災いを起こす荒ぶる神を送り出すお祭りになったのです。

夏祭りでは、山車(だし)と呼ばれる御神輿をもっと豪華にしたものが登場することが多いのですが、これはもともとは、さまざまな霊魂や神を乗せて送り出すためのものだと言われています。御神輿や山車というと、豪勢で威勢がよく派手なイベントというイメージが強いかもしれませんが、実は霊や神を送るためのとてもスピリチュアルな道具だったのです。

今年の神田祭は、本来は大祭であり大々的に行われるはずだったのですが、震災の影響を受けて開催中止となってしまいました。すでにニュースでご覧になった方も多いかも知れませんが、お祭りの自粛は全く意味が無いという意見があちこちから寄せられたようです。

筆者は以前から無意味な自粛はするべきではないと書いてきましたが、お祭りの自粛こそその際たるものと言えるでしょう。夏に行われるお祭りは死者を悼み、穢れを祓い、災いをもたらす荒ぶる神を送り出すためのものです。まさに、今こそ行われるべきものだと言えるでしょう。

現在ではお祭りというと、屋台や馬鹿騒ぎばかりがクローズアップされているために、このような自粛が起こってしまったのかもしれませんが、これから夏にかけて行われる多くのお祭りが本来の意味通りに行われることを願ってやみません。