日本人の心に咲く花

日本気象協会が発表した桜の開花予想によると、西日本ではすでに開花が始まっており、関東地方でも4月10日前後には桜が開花するとされています。

日本における桜の歴史は古く、古事記や日本書紀にも桜に関する記述があるのだそうです。そもそも、桜の語源のひとつとして木花之開耶姫(このはなのさくやびめ)の「さくや」が転化して「さくら」になったという説があるほどです。

木花之開耶姫は浅間神社に祀られていることから、富士山の神様として有名ですが、火の中で出産したというエピソードを持つ火の神様なのです。とても美しい女神なのですが、夫に不倫を疑われた時に、自らの潔白を証明するために自ら産屋に火を放って出産をするなど、なかなか芯の強い神様です。

その強さ、潔さ、美しさは、何も無い木に突然花が咲き誇る生命力、そして美しく咲いた後には潔く散る、桜のイメージに確かにぴったりという感じがします。ただ、「さくら」の語源は他にもあり、春に里へと下りてくる稲の神が宿る場所=稲(さ)の座(くら)というものもあります。どちらにせよ、日本人が桜をとてもスピリチュアルなものだと考えていたことがわかると思います。

日本中で見ることのできる桜ですが、その中から特に選ばれた「日本三大桜」というものがあります。この三大桜が指定されたのは大正11年のことだそうで、どれもが樹齢 1,000年を超える古木。山梨県にある樹齢 2,000年の「山高神代桜」、岐阜県にある樹齢 1,500年の「淡墨桜」、福島県にある樹齢 1,000年の「三春滝桜」の3つが三大桜と呼ばれています。

私たち日本人にとって桜は特別な花だとされてきました。古来からスピリチュアルなものとして捉えられていただけでなく、江戸時代には「もののあはれ」などを基調とする日本人の精神性の表れとされたり、お札で有名な新渡戸稲造は武士道を桜の花に例えたりもしています。

こういったバックグラウンドがあるからこそ、4月に多くの人たちがお花見を楽しむのではないでしょうか。一般的にお花見というと、飲んだり騒いだりがメインで桜を見るのはおまけになったりしがちですが、桜の美しさ、そしてエネルギーを感じて、改めて日本人の持つ精神性を確認するためのお花見というのも素敵だと思います。

東日本大震災の影響でお花見を自粛するという話も多く出ています。確かに、被災されている方のことを考えると馬鹿騒ぎをするのははばかられる…というのは理解できます。しかし、だからといって、何もかも自粛していたら経済が回らなくなり、結果的には、被災地への援助ができなくなるのも事実です。

ですから、今年のお花見は馬鹿騒ぎをするのではなく、桜の美しさ、そして精神性を確かめ、静かに日本全体へと思いを馳せながらお酒や食事をする。もしくは、有名な桜を見るために旅行に行くというのはどうでしょう? 経済に貢献するだけでなく、日本人の精神性を再確認することで、その時に生まれたエネルギーは、日本を、より良くするための力になるはずです。