カッパ、人魚、天狗などは、日本人なら一度は聞いたことがある妖怪だと思います。しかし、そういった妖怪たちのミイラが、日本のあちこちにあることは意外と知られていません。

日本国内には、妖怪のミイラと言われるものが色々と残っています。その中でも特に数の多いものは「人魚」のミイラ。人魚と言っても、一般的にイメージされるような上半身が美しい女性で下半身が魚、というものではなく、上半身は猿のような恐ろしい顔をしたものが大半です。和歌山や滋賀のお寺に奉納されていたりするので、テレビなどで人魚のミイラを見たことがあるという方もいるかもしれません。

人魚のミイラは日本だけでなく世界中で作られていたようで、イギリスの大英博物館やアメリカのハーバード大学などにもミイラが保管されています。

上記で「作られていた」と書いたとおり、つい先頃、和歌山県御坊市の歴史民俗資料館に保管されていた烏天狗のミイラが X線 CT によって分析され、粘土と鳥の骨を使って作られたものだということが証明されました。烏天狗とは、その名前の通りくちばしをもった鳥のような顔をした天狗で、鼻の長い天狗よりも格の低い存在であるとされています。

同じく科学的な分析は人魚でも行われており、こちらも、大体が猿と魚を粘土で合成したものであることが証明されています。

やっぱりどれも悪趣味な作り物なんじゃないか…と思う人がいるかもしれませんが、エネルギー的な存在である妖怪を、実際の姿として具現化させようとしたことに、何か意味があるように思えないでしょうか?

実際に作り物であるにも関わらず、これらのミイラには不思議な伝説などが残されているものがあります。その中の一つ、大分県の、とあるお寺にある「鬼のミイラ」があります。こちらも X線撮影によって、作り物であることが判明しているのですが、ミイラの写真を撮った人が災厄に襲われたり、心霊写真を鬼の妖力で供養してもらうために、奉納する人が後を絶たないそうです。

人魚のミイラは滋賀県に多く残っているのですが、もしかしたら古の時代には琵琶湖に本物の人魚がいて、それをどうにかして再現しようとした結果なのかもしれません。

ちなみに、今回の記事に掲載されている写真は岩手県のあるお寺に奉納されている「雷獣」のミイラです。雷獣とは、雷と共に現れる獣の形をした妖怪だと言われています。

こちらは、一見すると猫のようですが、体のバランスが通常の猫とは違っていて、手足が異様に長いことがわかると思います。エネルギー的にみると翼のようなものが感じられるという人もいますし、筆者が実際にお寺を訪れてこのミイラを見たときは、どこか呪術的なエネルギーを感じることができました。

妖精や天使のように癒しを与えてくれる存在というわけではありませんが、目に見えない日本文化の一つである妖怪。そして、それを具現化した妖怪のミイラ。もし、身近に妖怪のミイラがあったら怖がらずに見に行ってみてください。おもしろい発見があるかもしれませんよ?