神の霊力をうける酒

昨日 10月1日は「日本酒の日」。ということで、今日は日本酒について紹介したいと思います。

なぜ 10月1日が「日本酒の日」なのかというと、このたぐいの記念日にありがちな語呂合わせではなく、なかなかスピリチュアルな意味合いがあります。酒という文字は、「酉」という文字に由来します。もともと「酉」の字は酒壺の形を表す象形文字だったからです。

この「酉」という時は、暦でも使われています。みなさんご存じの十二支の 10番目が「酉」。10番目の文字の「酉」にちなんで 10月に日本酒の日を作ったというわけです。理由はそれだけではなく、1965年より以前は、酒造年度というお酒に表示する製造年度の初めを 10月1日に定めており、お酒を造る蔵元ではこの日を「酒造元旦」として祝っていました。

そのような要素が組み合わさることによって、日本酒造組合中央会が 1978年から 10月1日を日本酒の日として制定したのだそうです。

さて、そんな日本酒ですが、神道では御神酒といって、お酒は神に捧げるものであるとされてきました。神に捧げたお酒を、人間が飲むことで、その霊力をその身に宿せるという信仰があったようです。

そんな、日本酒の起源がいつごろかというのは定かではないのですが、お酒自体は縄文時代から存在していたようです。お米を原料とした日本酒については、その研究は進んでおらず、いくつもの説があるようです。

古代の酒に最も近いとされているものとして、練酒というものがあります。これは九州地方や出雲などに現在でも残っており、ペースト状でねっとりとしていて、飲み物というよりはお粥のような形状のものだそうです。皇室の儀礼では、今でもこういった古式の製法でお酒を造っているという話もありますので、もともと神に捧げられていたお酒というのは、ちょっとねっとりしたものだったのかもしれません。

時代が経つにつれて、現代のようなお酒が作られるようになったわけですが、当初は朝廷直属、それも宮内省管轄の部署で作られていたようです。宮内省管轄というところからも、どれだけお酒が重要視されていたかということがわかります。

今でも神社などでは独自のどぶろくなどを作って、その出来映えで吉凶を占ったりする場所がありますが、昔はお酒を作るというのは神聖な場所や、特別なところでしか認められていなかったということでしょう。

実際に庶民がお酒を気軽に飲めるようになったのは鎌倉時代以降のことのようで、それまでは神事のときなどのいわゆる「ハレ」の日だけ、飲酒が許可されたと言われています。

日本の食の象徴とも言える米から作られた日本酒。焼酎やビール、ワインなど、他のお酒の影に隠れがちですが、本来は神様の霊力を分けてもらい、なおかつ神秘的な啓示を得られた特別な飲み物だったわけです。

どんなお酒でも飲み過ぎれば身体に毒ですが、自分を清める意味も込めて、日本酒を口にしてみるのも良いのではないでしょうか。