植物を育てる雷

つい先日、関東地方が強烈な雷雨に見舞われたり、2010年9月23日(木)には千葉県でお祭りの最中に落雷があり、30人前後が負傷するなど、最近は雷がよく発生しているようです。

ところで、みなさんは雷に植物を育てる力があるというのをご存じでしょうか? 雷が発生したときに起こる光のことを稲妻(いなづま)といいますが、なぜ稲の妻と書くのか考えたことがあるでしょうか?

日本人の主食ともいえるお米。その米の元となる稲が実るのはだいたい9月から 10月にかけての頃ですが、ちょうどその頃に雷が多く発生することから、雷によって稲に実がつくと昔の人は考えたようです。

稲妻とは、そのものずばり「稲」の「妻」という意味なのです。現在では妻というと女性を指す言葉ですが、元々「つま」という言葉は配偶者や恋人のことを表す言葉で、妻だけでなく、夫も「つま」と呼んでいたのです。ですので、元々は稲の夫、だったところが、夫のことを「つま」と呼ばなくなった時代になって、稲の妻=稲妻と変わったわけです。

雷の語源が「神鳴り」であることからもわかるように、雷は、世界中の多くの神話において、神の持つ強大な力として知られてきました。そういうこともあり、神様の力を宿した光によって稲が実ると考えられていたのでしょうが、雷が発生することによって、稲が豊作になるというのは、科学的にも理にかなっているのです。

気象学的な見地からすると、雷が多い時期の降水量や日照量などは稲の生育に都合が良いそうですし、また、雷によって引き起こされる空中放電によって、空気中の窒素が分解され、その窒素化合物が水と合わさり、雨水となって地面に降り注ぐのですが、この時の雨水に含まれる成分は植物の生長に欠かせない硝酸なのです。

さらに、最新の研究によると、稲だけでなくキノコも落雷によって豊作になることが証明されました。岩手県で4年間にわたる研究の末に、稲妻と同等の強さの電気的刺激を与えることによって、いくつかの種類のキノコは通常の2倍以上の収穫が得られることがわかったのだそうです。

ちなみに電気を浴びることで、もっとも収穫数が増えるのは椎茸とナメコだそうですが、稲妻によって大きなエネルギーを浴びたキノコが、危険に対する反応として繁殖力を増大させているために、収穫量が増えるのではないかと推測されているそうです。

その強烈な光と音によって、恐怖を覚える人も多くいる雷ですが、そういった人でも、自分が食べるお米やキノコなどといった食物を育てるために、雷が一役かってくれているということを知れば、少しは雷に対するイメージが変わるのではないでしょうか?

今回はどちらかというと、雷について現実的な内容を紹介しましたが、機会がありましたら雷の神秘的な側面についても紹介したいと思いますのでお楽しみに。