魂をおさめる倉

みなさん寝るときに枕は使っていますか? 枕があると寝にくいという人、逆に使い慣れた枕でなければ寝れないという人などさまざまだと思いますが大多数の人がなんらかの枕を使っているのではないでしょうか。今回はそんな枕について考えてみたいと思います。

枕の歴史はとても古く、なんと最も古い枕の痕跡だと考えられているものは数百万年前の遺跡から見つかっているのです。

ちなみに日本で最古の枕というと 2000年に福井県の遺跡で見つかった木片がそれだとされています。これは弥生時代の棺の中から見つかったために死者のための枕だと考えられており、実際に生活の中で、眠るときに使われているのが確認されたのは室町時代のことだそうです。

枕という字からもわかるように、もともとの枕は木製であり、現在のような枕の形になったのは日本では明治時代頃、ヨーロッパでは 12世紀頃だと言われています。

毎日使うものだけに枕にこだわる人は多いようで、さまざまな種類の枕があります。サクランボの種を中に入れることで、冷やすと冷感が長続きし、暖めると温感が長持ちするという変わったものから、なんと 10ヶ月の予約待ちをしなければ手に入らないという完全オーダーメイドの「整形外科枕」などというものまであるそうです。

そんな枕ですが、世界的にみても生や死と密接に結びついているアイテムのようで、日本語の枕の語源として、「たまくら」=「魂の倉」という説もあるほどです。なぜ魂倉なのかというと、人間は寝ている時に魂が身体から離れると考えられていたためなのです。

身体から魂が出てしまうわけなので、ふらふらとして落ち着きがありません。そんなさまよう魂が落ち着く場所として用意されたものこそが枕。魂が枕に落ち着くことで安眠が得られ、逆に魂がふらふらしている状態の時に見た光景が夢だとされていました。

そのために、魂を収めている場所である枕を叩いたり、またいだり、投げたりすることは魂をびっくりさせるので良くないことだとされていました。また、妖怪の中に枕返しという存在がいるのですが、この妖怪に枕を返されることで、人間は死に近づけられたり、魂が肉体に帰れなくなったりすると考えられていました。

枕の言い伝えで有名なものとしては北枕がまっさきに思い浮かぶと思います。一般的に北の方角へ頭を向けて寝ると悪いと言われていますが、これには諸説有るようで、釈迦が入滅する際に北の方角へ頭を向けていたことから縁起が悪いというものもあれば、運気があがり頭寒足熱になるので身体にも良い、という説もあります。

毎日のように使っている枕ですが、こうして調べてみるととてもスピリチュアルな品物であることがわかります。今日の夜寝るときには、枕を意識してみるのもおもしろいのではないでしょうか?