梅雨の花

いよいよ全国的に梅雨が訪れ始めました。雨が多くなり、じめじめと鬱陶しい時期ですが、そんな中、一服の清涼剤ともなる梅雨の花について紹介したいと思います。

梅雨の花、と言うと真っ先に思い浮かぶのはアジサイ。梅雨から夏にかけて咲き、美しい青や紫の色で、じめっとした空気を清涼なものに変えてくれます。

アジサイの語源は藍色が集まったものを意味する「あづさい」が訛(なま)ったものだと言われています。語源が日本語であることからもわかるように、本来アジサイは日本原産の花なのです。

一般的にイメージされる丸い形のアジサイは西洋アジサイと言われていて、日本原産のガクアジサイが西洋に輸出され、そこで改良されて生まれた品種です。もともと、名前にもなっているように日本のアジサイは青色だったのですが、西洋に渡り改良されることで、紫やピンク、白などといった色が登場しました。

アジサイの色が土壌によって変わるというのは有名な話ですが、実際には小説などのように土壌が酸性だからといって、必ずしも青になるとは限らないというのが定説のようです。

ちなみにアジサイを漢字で書くと「紫陽花」となりますが、この字も本来は別の花を指す名称で、平安時代の学者が独自に当てはめたことにより、そのまま広まってしまったと言われています。

実は蕾や葉に毒が含まれていたりと、頻繁に目にする機会があるわりには、いろいろと知られていない面の多いアジサイですが、そんなことを知らなくてもその美しさは確かなものです。

愛知県にある「補陀寺(ほだじ)」というお寺は、5万株のアジサイが咲いているという「形原温泉 あじさいの里」のすぐ隣にあるのですが、そこには面白い伝説が伝わっています。

それによると、補陀寺がある土地では、「他人の家に咲いているアジサイを盗んできて、自分の玄関に吊すことに成功すればお金が貯まって、厄除けにもなる」という風習があったのだそうです。当然、アジサイは取り合いになるわけで、いろいろとトラブルも発生したために、補陀寺の住職が沢山持って行かれても平気なようにお寺の境内にアジサイを植えたのだそうです。この時植えたアジサイがどんどん増えて、現在の5万株になったとも言われています。

村人が奪い合い、西洋人が自国に持って帰って熱心に改良するほどの美しさを誇るアジサイ。梅雨は嫌なものですが、雨に打たれるアジサイの姿を見て、心を癒してみてください。