手を洗うことの意味

アメリカのミシガン大学で「手を洗うこと」についてのおもしろい研究結果が発表されました。それは、我が国の禊ぎ祓え(みそぎはらえ)の概念を考えさせてくれるものでした。

ミシガン大学の研究チームは、人間の意志決定と手洗いの効果について検証し、その結果を発表しました。それによると、意志決定をした後で手を洗った人は、そうでない人に比べて、自分の決断に自信を持っていることがわかったそうです。

簡単に言ってしまえば、何か物事を決めたら、その後に手を洗うと気持ちが揺らがないということです。なぜミシガン大学がこんな研究を始めたのか知りませんが、日本人から見るととても興味深い研究です。

神社には必ずお手水(ちょうず)があって、お参りをする前には必ず両手を清めて口をすすぎます。これは簡略化した禊ぎ(みそぎ)の作法です。神道は禊ぎの宗教であるという人がいるぐらい「禊ぎ」を重要視しています。

では禊ぎとはいったい何なのでしょうか? 禊ぎの由来は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉の国から戻ってきたときに、黄泉の穢れを川で祓い清めたことが始まりです。この時に天照大神(あまてらすおおみかみ)、月読命(つくよみのみこと)、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の有名な3柱の神様、3貴神が誕生しています。

神道の儀式には常に禊ぎ祓いがあり、何をするにもまず祓いから始まるのは、神々が清浄を好むこともありますが、最高神である天照大神が生まれたのがそもそも禊ぎ祓いによってだということもあるのではないかと思います。

基本的には祓いの儀式というと大幣(おおぬさ)という榊(さかき)の枝や木の棒の先に、紙垂(しで)という紙をつけた道具で、ばさっばさっとしてもらうのですが、元々はそれだけでなく、榊で塩湯をまいたりしたこともあったということで、やはり祓いに水は欠かせないようです。

冒頭で紹介した実験は西洋のものということで、手洗いに限定されていますが、神道の祓い清めを受けた場合にも同じような効果があるのではないかと筆者は思います。禊ぎというのは生まれ変わる儀式だとよく言われますが、心に強い決意を抱き心身を新たにすることで、決意を自分の中に埋め込むことができるのではないでしょうか。

みなさんも神社を訪れた際は、お手水を使う前にもう一度祈願の内容を心の中で確認しておくといいかもしれません。参拝を終えたあとに、しっかりとそれが心の中に根付いているはずです。