少し前、奈良県興福寺の阿修羅像が東京でも展示されるなど仏像ブームが起こりました。興福寺の阿修羅像などは中性的で確かに女性ファンが生まれるのもわかる気がします。今回はそんな仏像について紹介したいと思います。

「仏」像というからには、仏教の神様をモチーフにしているのですが、もともと仏教が起こった頃、仏陀=釈迦が存命中は仏像などは無かったそうです。それが釈迦の死後、その教えを伝える為に、その姿を表そうとして釈迦の足跡を刻んだものや、法輪などといったものが造られるようになりました。

そのものずばりの仏像が登場したのは、それよりも遙か先のことでおそらくは釈迦の死後 500年以上は経ってからのことだと言われています。当初は釈迦の姿をかたどったものだけだったそうなのですが、いつしか現在のように多種多彩な仏像が造られるようになりました。

釈迦を表した釈迦如来はもちろんのこと、多くの人を救うことで有名な千手観音、道端でも見かけることのできる「お地蔵さん」こと地蔵菩薩、迫力のある不動明王、仏像ブームのきっかけとなった阿修羅像など、仏教に出てくる全てのグループに仏像が存在しています。

このグループについて簡単に説明すると、釈迦如来などの「如来」とは悟りをひらいた人を現します。大日如来だけは密教で最高位となっているのでちょっと趣が違うのですが、まあ、だいたいそんなものです。

次に多くのファンをもつ観音菩薩、あちこちで見かける地蔵菩薩の「菩薩」ですが、こちらは如来になるために修行をしている段階を現します。ここでも弥勒菩薩だけはちょっと変わっていて、すでに如来になれるにも関わらず、未来で人々を救うまでは菩薩の位にとどまっているとされています。

穏やかではなく怒ったような顔をしていて迫力のある不動明王ですが、こちらは密教特有の仏像とされています。しかしながら、不動明王は多くの人から信仰されているために、あちこちのお寺で見ることができます。この「明王」は仏教の教えに従わない人を力尽くで従えたり、魔物を力尽くで倒したりするパワフルな存在です。明王は孔雀明王を除いてほとんどが怒ったような顔をしています。

最後に「天部」です。阿修羅もここに含まれますが、基本的には仏教が他の宗教から取り入れた存在が天部となりますので、多種多様な姿の像が存在します。有名なところでいうと弁天様もこの天部になります。

これだけいろいろな種類の仏像がありますので、変わった仏像も存在します。諸国で仏像を造って歩いて、生涯で 12万体の仏像を彫った円空という仏師がいます。その数はすさまじく現在でも 5,000体以上が残っているのですが、繊細な阿修羅像とは正反対の荒々しい仏像です。

しかしながら、野性味あふれる中に浮かんだ微笑と、その素朴な風情は多くの人を虜にしています。今回の仏像ブームは阿修羅像が発端だったので、あまり円空仏などは紹介されませんが、全国に円空仏はありますので、もしどこかで見かけることがあったら、じっくりと観察してみて下さい。一見荒々しい中に潜んだ、なんとも言えない慈愛と魅力を感じることができるはずです。

そんな円空が彫った仏像の中に「木っ端仏」というものがあります。これは大きい仏像を彫るときに出た削り屑を使って造られた仏像です。もちろん削り屑なのでそんなに大きくはないのですが、それでもしっかりと仏像になっていて、魅力的な微笑を見せてくれます。

最後に、現代に誕生した新しい仏像も紹介しておきましょう。2010年4月1日(木)から 16日(金)まで個展が開催されていた「うまい仏」です。こちらは駄菓子として有名なうまい棒に仏様の顔を掘ったもので、そのタッチは円空仏にも似たものがあります。

完成したら最後には食べてしまうというのは、賛否両論かもしれませんが仏を自分の中に取り込むというのは面白い発想なのではないでしょうか? うまい棒と彫刻刀があれば出来る手軽な修行として行ってみるのもおもしろいかもしれません。