innocent
≪ innocent ≫

薬師寺さんにとって作品を創作する上で欠かせないもの、それは「水」。大切な出会いの瞬間にはいつも「水」があったから。イルカやクジラと出会った深い紺碧の海、氷河の蒼い氷、森を湿らす緑の雨…。水に潜む記憶を紐解き、そこに宿る精霊たちの声をカタチにし、作品として創り上げてきました。もう一つ大切な「水の記憶」、それは、沖縄美ら海水族館のプールで出会った尾びれを失ったイルカ “フジ” です。薬師寺さんは、ブリヂストン社と共に世界初の試みである「人工尾びれ製作プロジェクト」に参加しました。
昨年秋に東京で開かれた個展に伺い、創作活動やイルカのお話を伺ってきました。

── 美しい作品ですね。本物の海を見ているようですが、この彫刻はどのようにして作られるのでしょうか?

本当にラフな型ですが、型を作ってそこにアクリルを流します。僕は、同じ形のものを作りたくないので、ほとんど、一回使い切りの型を作ります。アクリルは収縮凝固といって、縮んで固まるんですね。2割も縮まるんですよ。さらに、どこが縮むかもわからないんです。まったく予想しないところが、縮んだりするんです。それで、アクリルを型に流すときは、毎回賭けなんですね。まあ、ある程度の経験則はあるんですけど、これは無理かなとか思いながら、流すときもありますし、案の定無理だったりすることもありますし(笑)。続きを読む