無数の石仏が並ぶことで有名な、京都嵯峨野にある化野念仏寺。よくテレビドラマなどに登場するので一度は見たことがある人も多いのではないでしょうか? 多くの石仏が並ぶ様子にちょっと怖さを覚える人もいるかもしれませんが、実際はどのような場所なのでしょうか?

化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)は西暦811年に空海によって建立されたといわれています。もともと、化野は風葬の地でした。

風葬というのは平安時代に一般的であった葬儀の方法で、遺体を風にさらして風化を待つというものですが、平安時代の場合は、実際には遺体を捨てておいたら風化してしまったというのが実情のようです。

そんな野ざらしにされていた遺体を空海が埋葬した場所が化野念仏寺です。その後、浄土宗の開祖である法然によって念仏道場が開かれ念仏寺と呼ばれるようになりました。

約 8,000体 ともいわれている多くの石仏や石塔は明治に入ってから、化野に埋まっていた多くの無縁仏を掘り出して、彼らのお墓として建てられたそうです。

一見すると、その石仏の数に恐怖を覚えかねない化野念仏寺ですが、その根底には死者を敬い、鎮魂するというとても暖かく優しい心が流れているように思えます。

筆者も訪れるまではちょっと心霊スポット的なイメージがあったのですが、実際に訪れてみると石仏の周辺はなんともいえない静寂に包まれ、とても落ち着いたエネルギーを感じることが出来ました。

石仏以外に水子供養としても有名なようで、石仏のある場所からしばらく歩いた所に水子地蔵が祀られています。こちらのほうは、いろいろな人の情念のようなものを感じないわけではありませんが、かといって無用に恐れるようなものではありません。

化野念仏寺の石仏に囲まれていると平安の時代から続いてきた鎮魂の念を否が応でも感じることができます。パワースポットとは少し違うかもしれませんが、心を静め、そして死者への畏敬の念を新たにできるとても素敵な場所だと思います。

季節ごとに違った顔を見せてくれる嵯峨野にありますので、京都に訪れた時には怖がらずに観光もかねて、一度訪れてみてください。きっと、その静寂から得られる物があるはずです。

Spot Data
化野念仏寺
京都府京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17番地