今までいくつかの神社や仏閣を紹介してきましたが、どれもそれなりの規模を持つ場所ばかりでした。しかし、町中をふと歩いている時に気がつくと側にある、そんな神社や仏閣、というよりもお社や祠もあります。今回はそんなお社を紹介したいと思います。

四条河原町といえば京都随一の繁華街。有名な祇園がありますし、少し歩けば八坂神社や清水寺までもいくことができるので、京都に来たら一度は訪れたことがある場所なのではないかと思います。

京都に住む人間もこの四条河原町にはよく足を運びます。若者は映画館やカラオケ、ショッピングなどを行うため、年配の方でも錦市場へと買い物に来たりします。幅広い世代にあわせて必要なものがそろうという点では新宿にも負けていないかもしれません。

訪れる人が多いだけあり、四条河原町の玄関口となる阪急線河原町の駅前は、いつも多くの人で混雑しています。もともとさほど道幅が広い場所ではないので、初めてきた人は渋谷のスクランブル交差点並の混雑度だと思うかもしれません。

そんな駅前から3分ほど歩いた場所に、「柳小路通」という通りがあります。一応通りの名前があるものの、筆者が初めてこの通りを訪れた時は、ほとんどのお店が閉まっており、そんな中で一軒だけなかなか美味しいカレー屋さんがあるぐらいでした。

その寂れた通りの中程に小さな鳥居があるのに気がついたのも、カレー屋さんへと向かう途中でした。他にほとんどお店が開いていないにも関わらず、「八兵衛明神」という看板がひっそりと出ていたのを覚えています。

本当に小さいお社でありながらも、うち捨てられた感じはなく、誰かがきちんとお祀りしている感じがあったのがとても印象的で、たまに通りかかると立ち寄ったりもしていました。

そんな柳小路もここ数年でとても綺麗に整備されて、おしゃれなお店が建ち並ぶようになり「八兵衛明神は大丈夫かな?」と思っていたのですが、訪れてみると、前よりもちゃんとした看板が出ていて、相変わらず大事にされているようでした。

なんでも、明治時代、東京に都が移った頃に、河原町界隈もすっかりと寂れてしまい、狸が出るほどだったそうです。そんなときに歓喜光寺というお寺の境内で狸が3匹死んでおり、その後、柳小路のあたりが整備されるのにあわせ、地域の鎮守としてこれら3匹の狸をまつった「八兵衛明神」「七兵衛明神」「六兵衛明神」ができたのだそうです。

実は筆者は、このあたりをよく歩くわりには「八兵衛明神」しか知らなかったので、機会があったら他の2つも探してきて、ご報告したいと思います。

今ではすっかり繁華街の河原町ですが、地元の人の話によると、昔はちょっと高台にいけば河原町からでも五山の送り火が見えたということです。今の河原町からすると想像もできませんが、八兵衛明神はそれよりも遙かに前から、河原町を見守ってくれていたわけです。

決して強烈なパワースポットではありませんが、地元の人の信仰が優しく息づいているのを感じる。そんなほっこりとした気分になれる八兵衛明神。興味のある方は河原町を訪れたときに探してみてください。あえて今回は詳しい地図は載せませんので、ちょっとした繁華街の探検を楽しんでいただければと思います。