「『ありがとう』は魔法のことば」

上手に対人関係を築くのが下手で、いつもあちこちでトラブルが起きてしまうお兄ちゃん。ある日、そのお兄ちゃんが真剣な顔して聞いてきました。
「ママ、運を良くするためにはどうしたらいいの?」

これは、チャンス!自分から聞いてくるなんて。

「そうだね。運を良くするには『ありがとう』をたくさん言うといいよ。最初は心からの『ありがとう』じゃなかったとしても、いろんなところでいろんなことに『ありがとう』って言い続けているうちに、気が付いたら『ありがとう』って言うことがくせになって、そのうち自分にもたくさんの『ありがとう』が返ってくるようになるよ。それが、運を良くする一番の近道じゃないかな?」

 これは、私自身が数年前に働いていた職場で感じたことです。みんなが不平不満、愚痴・悪口を言い合っているような職場でした。若い時の自分だったら、一緒になって悪口を言ってしまっていた気がします。でも、子どもたちに背中を見せて生きている立場として、愚痴・悪口は言いたくない。どうしたら・・・と考えた末に出した結論が、とにかくなにも考えずに感謝してしまおう、ということでした。
 とにかくなににでも「ありがとう」で返すようにしたら、私の前で悪口を言う人がいなくなりました。そして私自身は円満に退職することができて、もっと気持ちよく働ける場所を見つけることができました。

だから力説したのに、お兄ちゃんたらマンガなんか読みだしちゃって、話を聞いていない。
・・・だめだねぇと、ため息ついてたら、横でお絵かきしていた真ん中の娘が、
「ママ、いいお話をありがとう。私これから『ありがとう』をたくさん言うようにするね。
ありがとう」
なんて。もう即、実践している。
 わが子ながら、えらい!と感心してしまいました。

 いい話でもなんでも聞いているだけじゃ、なにも変わらない。とにかく、いいと思ったら実行・実践しなくては。行動が大切だと思います。

 数ヵ月後の家庭訪問の時、娘の担任の先生に
「こんなに感謝の気持ちを持って、きちんと表現してくれるお子さんに初めて会いました。
クラスのみんなのお手本になっています。自然に『ありがとう』の言葉がいつも出てくる姿に感動しています」
と、言っていただきました。
 ある日娘が持ち帰ったテストの裏側を見たら、先生宛の手紙が書いてありました。
『先生へ。先生いつも、ありがとうございます』
小学2年生の時のことです。
横に赤字で先生からの返事が書かれていました。
『とてもうれしいメッセージをどうもありがとう!わたしはあなたの「ありがとうございます」っていうことばにいつもパワーをもらっています。いつもすてきなことばのプレゼントをありがとう!おれいをいうのはわたしのほうです』

 「先生にありがとうって言われちゃったよ!」
と、うれしそうに報告してくれる娘が愛おしくなりました。
 「わたしが、ありがとうって言うと、みんなやさしい顔で『こちらこそ、ありがとう』って言ってくれる。おもしろいね。うれしい気持ちになるよ。ママ、『ありがとう』は魔法のことばだね」

 みんなを温かく幸せな気持ちにする言葉、「ありがとう」。
 『ありがとうは、魔法のことば』
 娘は一歩、魔法使いに近づいたのかも。